ごんブロ

だいたい月に一度、本や映画の感想を書きます

匿名ラジオ/#48「自分の声を一切聴かず、鏡を絶対に見ない男の悩み」を聞いて、昔自分のことを醜いと思っていたことを思い出した

最近、晩御飯中はyoutubeを見ることが多いのですが、特に好きなのはオモコロのライターのARuFa君とダ・ヴィンチ・恐山氏が放送している『匿名ラジオ』です。

 

エンタメ色の強いウェブメディアのライターである二人が身の回りに起きたことや妄想を自由にしゃべくるだけ、という内容なのですが、そこはもう生まれつき芸人のようなARuFa君のトーク(と、それをうまく掘り下げて膨らませる名アシスト恐山氏)なのでクオリティがめちゃくちゃ高く、いつも毎回10分~20分とは思えないほど盛り沢山の内容です。

 

見始めたのが数か月前からなので、最新回の他にも過去回も少しずつ惜しむように聞いているのですが、先日聞いた#48が「自分の声を一切聴かず、鏡を絶対に見ない男の悩み」という内容でした。

 


匿名ラジオ/#48「自分の声を一切聴かず、鏡を絶対に見ない男の悩み」

 

ちなみにこの「男」というのは他でもないダ・ヴィンチ・恐山氏のことであり、昔から現在に至るまで氏は鏡も見ないし(ひげそりは勘でやっている)、放送している匿名ラジオも聞かない(本当は聞きたい)という偏執ぶり。

 

その理由は「嫌だから」。

自分の顔を絶対に見たくないし、録音された自分の声を聞くのも嫌だという。

ARuFaさんはそういうの(録音された自分の声を聞くこと)は嫌じゃなかったですか? というのに対し、いやそういうのは思春期に乗り越えたかなぁと返すARuFa君とのやり取りを聞いていて、思い浮かんできたものがあった。

 

「醜形恐怖症」である。

(詳しい説明など☞小さなことが気になるあなたへ/OCDコラム>第131回)

 

身体醜形恐怖症(通称BDD)は自分の肉体への「醜い」という「思い込み」がその人が生きることへの支障となっているほど重度であるケースを指すけれど、比較的軽いものであるなら心当たりがある人も多いと思う。(恐山氏の「絶対に鏡を見ない」など)

 

私もかつて軽いBDDだった。

そして今はそんなことはまったくない。

自分の中で明らかに「治った」となった出来事を覚えているので、その時のことを書いていきたい。

「どうしたらこれは治るんですかね?」と言っていた恐山氏のような人に、いつか届けこのおもい!

 

私は自分のことを醜いと思っていた

 

これを人に言うとすごくびっくりされるのですが、私は19歳の時まで自分のことを醜い人間だと思っていました。

 

たぶん醜形恐怖症の人は子どものころ自分にとって影響力のある人間に「ブサイク」と言われたことが原因なのではないかと思うのですが、私にその呪いをかけたのは1つ年上の兄でした。(仲が悪かったのではなくむしろ仲はとても良かった)

 

成長して誰にも「ブス」や「キモい」と言われなくなっても自分のことを醜いと思っていたので自分の顔を見ることが嫌いで、化粧や衣装合わせはしていてもやっぱり自分のことは漠然と「キモい顔だなぁ」と思っていました。

 

「客観的」に自分の顔を見ることが出来ない、というのがこの病の特徴ではないかと思います。

例え周りから「可愛い」と言われても、自分で自分のことを「キモい」と思いこんでいるのでその目を通して見える顔はすべてキモいんですよね。

 

しかしある日転機が訪れます。

 

母が子犬を家に連れて帰ってきたのです。

 

 

 

史上最強に可愛いいきもの

 

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んぎゃわいいいいいい!!!!!

 

母が犬を飼うと言い出した時、私は「犬なんてぜったいに私めんどうみないんだからね!!」と何故か息まいていたのですが、子犬を見た瞬間デレデレに。

 

誰よりも率先してお世話係に従事し(意外だったようで母はすごく驚いていた)、19歳という多感な時期の心の八割が初めて育てる子犬のことで占められるようになりました。

 

私はその当時他にも色々と心のバランスがすこしおかしいところがあったのですが、朝起きたら家に天使がいるという日々を過ごすうちに心のバランスが取れるようになったのでした。

15歳前後の頃からあった夢遊病の癖が治ったのもこの頃でした。もし私が寝ながら歩いてこの子を踏んでしまったらどうしようと思うとピタリとなくなったのです。

 

BDDが治ったのは母が撮った動画を見たことがきっかけでした。

何度も繰り返して見たので今でもとても記憶に残っているそれは、冬の家のリビングで子犬(すでに成犬でしたが)と遊ぶ私の姿でした。

 

そこには愛してやまない子犬と、子犬に対して今まで自分が見たことがないほど優しそうな顔をして笑っている私が映っていました。

「自分は醜い」という私の中にすくっていた呪いが粉々に打ち砕かれた瞬間でした。

 

「え、私、はた目にはこんな風に見えているの?」という驚きから何度もその動画を再生してみてもにわかには信じられません。

どう見ても鏡で見る時の自分の顔よりも数倍魅力的な姿だったからです。

 

『鏡で見ている姿と、周りから見えている自分の姿は違う』

 

衝撃でしたが、そのことに気づいた時に私は初めて自分の「目」が偏っていると自覚することが出来、客観的に自分の顔を見れるようになりました。

(具体的に言うと、その後も鏡に映る自分の顔を見て内心「うわっ」と思うこともあったと思うのですが、動画を思い出して「いや、でも、周りからはああいう顔に見えているんだよな・・・」と、自分の見え方に信頼を置かなくなり、いつの間にか客観視出来るようになった。)

 

 

本題:どうすればBDDは治るのか

 

自分の経験からの結論で恐縮ですが、

『最愛のいきもの(人含む)と一緒にいる時の自分の姿を収めた動画を見る』

これに尽きるのではないでしょうか。

『大好きなことをしている姿』でもいいかもしれません。

そして写真よりもより他者からの見え方に近い動画がおすすめ。

 

とにかく自分の目が偏っていることを自覚する。自分の見え方を疑う。

 

『鏡で見ている姿と、周りから見えている自分の姿は違う』ことを忘れない。

 

結局は「自分のことが嫌い」というところからくる病だと思うので、何かを愛することで癒えるものなのではないかと思います。「愛する」ほど心を癒すものはないので。

 

 

余談。

そういえば「声」ですが、私も自分の録音した声がキモくて嫌いだったのですが、ここ1~2年間で嫌いじゃなくなりました。

というのも同じデスクの島にいる後輩ちゃん(声がとってもかわいい)がいて、彼女が入社して2年になるにも関わらず未だに電話を取ると「あ、○○(後輩の名前)さん?」とめちゃくちゃ間違われるからです。

声が似ているのだそう。

あんなにかわいい声と似ているか・・・?とおっさん達の認識を疑いながらも、私はその後輩ちゃんのことがかわいいので自分の声もキモいと思わなくなりました。

おわり。