ごんブロ

だいたい月に一度、本や映画の感想を書きます

【書評・感想】「なぜ、この人と話をすると楽になるのか」から「レズと七人の彼女たち」まで10作品

さいきんは加齢による物忘れが進み読んだ本の事を覚えていられないのでもっとこまめに書いていかねばならないのだけど、なんのかんのと理由をつけて書かない癖がついてしまっている。大変遺憾。

とはいえエンタメ的には実用書・小説・映画・漫画・アニメ・コミックエッセイとバラエティに富みとても充実していたように思う。

 

 

■実用書

「なぜ、この人と話をすると楽になるのか」/吉田尚記

 

 

 かつて重度のコミュ障だったというアナウンサー吉田尚記氏が書くコミュニケーションマニュアル。

コミュニケーション法について書かれた本の中でも大変な良書ということを知り、コミュニケーションについて今一度1から理解を掘り下げたくて購入。

 

とてもおもしろくやさしく、学生の頃の自分に読んでいてほしかった名作。

「人はなんのためにコミュニケーションを取るのかと言えば、コミュニケーションのためにコミュニケーションを取っているのである」という根本からコミュニケーションについて掘り下げ、世間一般にある「コミュニケーション」についての誤解を説き、コミュニケーションの最終的な最良の落としどころまで着地させています。

特に「コミュニケーションとは対戦ではない」というのが目からうろこで、本当のコミュニケーションとは「聴く」部分にあり、コミュニケーションにおける敵とは「気まずさ」であるという部分にハイライトつけまくり。

わたし喋らないとしぬ人間だし中途半端に物知りなので常にめっちゃ喋ってしまうので、ちょっとそのへん自重しようと思いました。三十路を前にして知る、私がしているのはコミュニケーションではないという事実。聞く力鍛えよ〜〜〜

 

 

■小説

「たゆたえども沈まず」/原田マハ

 

たゆたえども沈まず

たゆたえども沈まず

 

 

初・原田マハ。キュレーター(学芸員)でもある原田氏が描くゴッホ兄弟と日本人美術商・林忠正とその部下加納重吉が19世紀末下のパリで織りなす切なくも温かい物語。

先日大阪某所で「本屋大賞読書会」があったのでそちらに参加したくてノミネート作品であった本書を手に取ったのですが、別に好きでもない(というか初めて読む)作家の、かつ自分が積極的に読みたいわけでもない本という初めてのシチュエーションにテンション低めに読了。

 

内容もなんとなくぼやっとした印象で、あまり盛り上がりも盛り下がりもない物語なのでこれは本屋大賞作ではないと私自身は踏んでいたのですが、読書会での私の発表そのものの評価は高く本屋大賞予想・第1位を頂きました。やっぴー!

原田マハ自体は悪く無かったのでその内「楽園のカンヴァス」を読もうかなぁと。

 

 

■映画

「バーフバリ 1・2」

 

 

 

 

九条シネ・ヌーヴォで一挙上映するというので何も知らない友人を引きずって観に行きました。

2は実は2月に観ていたのですが、度肝と尻こだまを抜かれてしまい今まで感想すら書けずにいましたが尻こだまが復活したので2回目かつワン・トゥ一挙上映鑑賞に繰り出した次第です。

 

インドのアクション映画かっこいいよぉぉおおお〜〜〜〜〜古代インドかっこいいよぉぉおおおお〜〜〜わしもマヘンドラにお鼻を踏まれる象(ぱおん)になりたいよぉおぉおおぉおぅおう。

 

いやもうほんとにインドがあんなにかっこいい映画つくれるなんて知らなかったわ。

戦闘シーンがいちいちむっちゃやりすぎのかっこよでバーフバリを見て以来他の映画のアクションシーンが物足りなく感じるくらい、あまりにも劇的な映画でした。

 

始めて観た時は衝撃的すぎて一緒に行った先輩と「どうやってあんなシーン(※)思いついたんだよ!?!??」「さすがは”零”の概念を発明した国の発想やでぇ・・・」とずっと話題が尽きないほどで、何なら今でも週3でバーフバリの話題が出てる。不滅。

 

f:id:gonzarezmm:20180417235951j:plain

(※あんなシーン)

指は三本にして手の平を返す!

 

 

f:id:gonzarezmm:20180418000130j:plain

(※あんなシーン)

 

零という概念を生み出した国にしか生み出せない、ヤシの木大作戦。

 

 

 

「ドリーム」 

ドリーム (字幕版)

ドリーム (字幕版)

 

 

1960年代初期、キング牧師公民権運動を先導する中、NASAで行なわれていた有人宇宙飛行プロジェクトの基幹業務に従事していた黒人女性達の史実を基にした知られざる物語。

 

とにかく熱かった。自分には差別意識などないと思い込んでいる男たちが自分の中にある差別意識を徹底的につきつけられるシーンの鮮やかさと凄みよ。

NASAの東棟には黒人女性専用トイレが無い、そのことに「気づき」もしない、差別というものはそれくらい根深いし怖い。善良さと怜悧な頭脳を持ち合わせた男性が、少しでも考えれば分かることに「気づき」もしないのだから。(そしてそれは現在の男女間にも通ずるのであるというつらみ。)

 

あと地球周回軌道からの再突入がちょっと「猫の地球儀」みたいで、というか「猫の地球儀」の再突入のシーンがマーキュリー計画の文献を参考にして書かれていたのかなと初めて気づいてそのあたりが個人的に熱すぎたというのもある。(むちゃくちゃどうでもいい)

 

 

■漫画

進撃の巨人(25)」/諌山創

 

 

 

今いちばん好きでとにかく続きを読みたい漫画NO.1こと「進撃の巨人」ですが、25巻\\出〜〜た〜〜よ〜〜〜〜〜!!!!//

 

正直毎回新刊読むたびに毎回誰かに言っているんですけれども、私ここ2、3年の「進撃の巨人」は読むと必ず泣いてしまうくらい泣きながら読んでいて、今巻にいたってはもはや大号泣。

なんか「進撃の巨人」で泣いたって人あんまり見ないんですけど泣けません??

特に23巻からはずっとライナー目線でライナーへ心情を寄せるしかないストーリーが続いていて、ライナーの気持ちが痛いほど分かったところでのエレンとの邂逅と対話・・・

 

f:id:gonzarezmm:20180418000949p:plain

(引用元:進撃の巨人(25))

 

 

f:id:gonzarezmm:20180418001108p:plain

(引用元:進撃の巨人(25))

 

なぁ…? ライナー

お前…ずっと苦しかっただろ?

 

今のオレには それがわかると思う…

 

いやもう切なすぎる。(号泣)

絶対に誰にも分かってもらえない、分かち合えない思いを分かってくれるのが殺さなければならない敵。

ずっと誰かに言ってほしかった言葉を言ってくれたのがエレンという皮肉、そして今度はそのエレンがライナーと同じ無差別殺戮者となる運命の泥沼。

無間地獄ですかここは・・・? ここが地獄の3丁目・・・?

 

もうこの物語の着地点が分からない、どうすれば彼らが救われるのか見えない(救いなどあるのか)、最後まで見届けるしかない最終章開幕編。

でもって調査兵団新コスチュームかっけェェェェ&ショートヘア+長身美人のミカサ・・・すごく良いです・・・。諌山さんの萌えはほんといい趣味してる・・・。

本編が気がすごく滅入るので巻末の進撃のスクールカーストが本当に毎回の一涼の清涼剤になってる! もっとくれ!

 

 

■アニメ

STEINS;GATE 

(画像は劇場版)

 

もう約10年前のアニメなのでもはや今さらですらないですが見ました。

 

ずっと「めっちゃ面白いけど10話までの日常パートのオタクのノリがすごく苦行、切りたくなるけれど10話までは耐えるんだ」という評判を聞いていて私に耐えられるわけがないと敬遠していたのですが、逆に「だったらごはんタイムの流し見にちょうどよいかも」と思い見始めましたが、SF好きすぎて普通に2話から楽しめました。(それでも1話はつらかった)(あとオタクのノリはあれを現実でやってしまう人間がきもくて寒いのであって、2次元上で繰り広げられる分には平気)

 

ああああ〜〜〜〜時間SF好きぃぃいいい〜〜〜〜。

バックトゥザフューチャーを初めて観た幼児の頃からこのジャンル好きすぎ〜〜〜〜。

 

時間SFものとしてとっても良質なアニメでした、シュタゲ。

 

【その他所見】

・13話でもえかが言った「橋田至」が一瞬誰か分からなくて、ああダルの名前か!と初めてEDでキャラクターと声優欄を見たら「橋田至/関智一」となっていてますます「ダル=橋田至」に繋がらなくて混乱しました。関智一の無駄遣いかよ。(褒め言葉)

全然関智一の声じゃないのでびっくりしました。

 

エアーマンが倒せないくらいにまゆしぃの死が回避できないループにはまりこんでしまった岡部。いやもう普通に5回目くらいから仲間に相談しろよ!お前の目の前に優秀で頼りになる二人の仲間いるじゃん!とすごくイライラしてしまった。なんでこういう系の主人公は出来ないくせに一人で何でもやろうとするんだろう。頭が悪すぎないか。

 

・フェイリス、ルカ子、クリスといったヒロイン達と、ああこのあと原作(ゲーム)ではR-18パートが始まるんだろうというような「このあとめちゃくちゃセックスした」シーンがあったので「シュタゲ エロゲ」で検索してみたら、シュタゲは全年齢対応の健全なギャルゲーだったことを知り「テヘヘ」ってなった。「拙僧の早とちりにござったか」ってなった。(ちなみにルカ子とのデート回だけは見るのだるかったので飛ばした。)

 

 

■コミックエッセイ

「お母さん二人いてもいいかな」「ママ母手帳・上」「レズと七人の彼女たち 1」/中村キヨ,中村珍

 

お母さん二人いてもいいかな! ?

お母さん二人いてもいいかな! ?

 

 

ママ母手帳 「お母さん二人いてもいいかな!?」の、これまで。 上巻

ママ母手帳 「お母さん二人いてもいいかな!?」の、これまで。 上巻

 

 

 

レズと七人の彼女たち 1巻

レズと七人の彼女たち 1巻

 

 

 レズビアンの作者のプライベートを描いたコミックエッセイ。

中村珍は「羣青」で知ったのですが、「羣青」の編集部とのトラブルをブログで公開したり、そこで主張してる作者の言い分のいくつかが傍目から見ても「なに言ってんだこいつ」というものだったりと(新人・絵が下手なのに分不相応なほど高額なアシスタントを雇って結果首が回らなくなるなど)、作品よりも作者自身が悪目立ちしていて、「なんて面倒くさい人なんだろう。生きづらそうだなぁ」という印象を抱いていたのですが、コミックエッセイが出ていたので購入。

 

色んな人がいるんだなぁという多様性について一考できる漫画。

しかし読んでいて目につくのが、中村さんには(本人にとって以外には)どうでもいい「こだわり」がそれはたくさんあって(特に形式的な「礼儀正しさ」については異常なほどこだわりがある。めちゃくちゃ厳しい家に生まれて暴力的に躾けられたせい?)、なんだかその「こだわり」の強さが発達障害の幼なじみを思い出させてしまうし(そういえば羣青を私に貸したのも彼女である)、今まで出会ってきた発達障害の気のあるいわゆる「面倒くさい人たち」に似た空気があるなぁと思う。

こういう生きづらい人たちが工夫して生きている姿をエッセイにした漫画を読むのが好き。あと漫画から漂う自己陶酔というかナルシズムのにおいにお腹いっぱい。いい、それでこそエッセイだぜ。

 

 

以上10作品でした。今回は豊作。