ごんブロ

だいたい月に一度、本や映画の感想を書きます

美しい佇まいとは何か『かもめ食堂』の小林聡美を見ながら考えた

 

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邦画もテレビもほぼ観ないので、『かもめ食堂』も『ねがね』も観たことが無く、小林聡美さんという有名な女優のことをこの年にしてほぼ知らない人間なんですよ。 

というか、むかし小林聡美さんがパスコのパンでサンドイッチをつくって食べるCMを見ていた時、母に「ごんちゃろみたい」と言われ、

 

え? こんなパッとしないおばさんに??

15歳の私が似てる????

 

と大ショックを受け、以来小林聡美さんを避けて生きてきたのです。(大失礼)(あと母は小林聡美さんが好きで娘を褒めたつもり)

 

あれからもう15年。

 

このところ何故か今さら古畑任三郎のドラマにハマっていることから、古畑任三郎と言えば三谷幸喜三谷幸喜と言えば元奥さんの小林聡美さん、とネットサーフィンをしていたところ、とあるブログの『かもめ食堂』の感想記事に行き着きまして。

そのブログ主さんは主演の小林聡美さんについて、「あんなに所作の美しい、凛とした佇まいの女性はちょっといない」と絶賛されていたのです。

 

私はもう15の小娘ではありません。

この年にもなると、生まれ持った造作の美しさよりも、所作や佇まいが美しくあることの方がいかに重要か分かるものです。

 

だって「圧倒的に顔の美しい女性」と「圧倒的に所作の美しい女性」がいるとしたら、後者の女性の方が見てみたいと思いません?

 

私も「顔がきれいな女性」より「所作のきれいな女性」と言われたい。

 

いそぎ、私は『かもめ食堂』をレンタルして視聴しました。

 

そしてほぼ初めて見る「動く小林聡美」とその佇まいに感動すると同時に、美しい佇まいとは何かについて考察したのでこちらにその結果を書き留めます。

 

 

◆私が思う佇まいが美しく見える人の条件

 

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【見た目編】

・肥っていない

 

いきなり身も蓋もないですが、これ。肥っている人は駄目。

私が『かもめ食堂』の小林聡美さんの何にいちばん感動したかというと、あの耳からあごにかけて走るほっそりとした美しいフェイスラインです。

 

美しい所作や佇まいって訓練によって身に付くものなので、体型が前提条件にあると生まれつき太めの人はどんなに訓練しても痩せない限り身に付かないことになりますが、でも確かに肥っていて「凛とした佇まい」という言葉が当てはまる人って、想像つきません。

私達が「凛とした佇まいの人」を想像する時、思い浮かぶのはすらっとした人であるはず。けれどあくまで日本人として平均的な体質の持ち主ならば、肥っていないということは、バランスのとれた食事を摂り、定期的に運動しているということの証左でもありますから、そういった暮らしが美しい佇まいにつながるというのは納得の理由です。



・姿勢が良い

 

小林聡美さんはとっても姿勢が良い。

肩はそれほど張っていないのですが、背筋がすばらしく真っ直ぐです。

共演されていたもたいまさこさんと比べると、如何に彼女の姿勢が美しいかはっきりと分かります。

かもめ食堂』の作中では小林聡美さんが合気道の膝行を行なうシーンがありますが、あれはそもそも姿勢が良くないとうまく出来ないのだとか。



・肌が美しい

 

小林聡美さんを語るにあたって絶対に外せないことと言えばあの白くてきれいな美肌。

色白は七難隠すと言いますが、美肌はそれを上回ります。肌が美しいとそれだけではっと人目を惹く。

 

 

【動き編】
・よどみの無い動き

 

かもめ食堂』の小林聡美に感動したその2は、あの無駄な動作が見当たらないよどみのない動きでした。

料理をする時の、コーヒーを煎れる時の、あるいはテーブルを拭く時の、まるで約束されたかのような柔らかい動作には見惚れてしまいました。

よどみが無い動きと言うと速い動きを想像するかもしれませんが、小林聡美のそれはゆったりとした、丁寧で迷いのない落ち着いた動きなんですよね。



・静けさをまとっている

 

映画自体がそういう造りといえばそうですが、騒々しさと無縁。「ガン」とか「バターン」みたいな耳障りな物音を立てない。焦らないし慌てない。

これは映画の中だけじゃなくて、小林聡美さん自体が静かな人なんだと思う。

日常生活で立てる物音が大きい人間って、なんとなくそれが見た目に出ているじゃないですか。

個人のがさつさや静けさはそれくらい体に染みこんで気配として現れるのだと思う。

 

【メンタル編】

・勤勉さが滲み出ている

 

もはや精神論にまでやって来ましたが続けます。

かもめ食堂』を観て以来、肥っておらず肌がきれいで姿勢が良くて仕草が上品、だけど小林聡美に覚えるような佇まいの美しさを感じない女優って、何故なのだろう、何が足りないのだろうと考えていたのですよ。

そこで『かもめ食堂』を思い起こしてみるに、サチエさん(小林聡美)ってとても勤勉なんですよね。

お客さんが誰も来なくても同じ時間にお店を開けて掃除をし、時間になったらお店を閉め、時おりプールに行き、毎晩合気道の膝行をやってから眠る。

 

淡々と、規則正しい生活を送る。これを実行するには非常に強い自制心が必要です。

 

そしてこれは役というよりも小林聡美さん本人の資質なんじゃないかと思ったのです。

 

欲に溺れず、ストイックで、自律心がある。

 

古き良き日本人が持っていた勤勉さというものを小林聡美は備えているように思う。

 

私は原節子さんの映画も観たことが無いのですが、でも原節子評伝は読んでいて、今回小林聡美さんの佇まいの美しさの理由について書いていてなんとなく、原節子さんのイメージと重なる部分が多い印象でした。

東京物語』も観なきゃなぁと思うのですが、私は女が弱い物語が好きじゃないので、小津安二郎にまったく心惹かれないんですよね…。



ということで、小林聡美を見て考えた『美しい佇まい』の条件6つでした。



私もまずは夜更かしをやめて規則正しい生活から始めよう!!!(今期200回目の決意)