スティルトンをご存じでしょうか。
イギリスのブルーチーズで、イタリアのゴルゴンゾーラ、フランスのロックフォールと並んで【世界三大ブルーチーズ】と称されるチーズですが、このチーズが有名であることにはもう一つ、寝る前に食べると高確率で『奇妙な夢を見る』というゆえんがあります。
2005年、英国チーズ委員会(British Cheese Board)は「就寝前に食べたチーズと夢の関係」についての調査報告を行った。この中でスティルトンチーズはほかのチーズよりも「奇妙な夢」を見る確率が高いとしている。就寝30分前にスティルトン・チーズの小片20gを食べた被験者200人のうち、男性の75%は「奇妙で鮮明な夢」を、女性の85%が「奇怪な夢」を見たという
そんな非常に興味深い不思議なチーズを食べてみたので、その結果と一連のうごきについて、ここにご報告したいと思います。
チーズを食べる前に
まずは定義です。奇妙な夢とはどんな夢なのか。もしも普段から奇妙な夢を見ているとすれば、スティルトンを食べて奇妙な夢を見たとしも、スティルトンとの因果関係が分かりません。スティルトンを食べて見た夢が『奇妙』かどうかを判断するためには、普段の夢との比較が必要です。
そのため、数日分の夢を記録することにしました。スティルトンを食べるのは土曜日の夜と決め、5日前から夢日記をつけます。
夢日記
5日前
梅田あたりの飲食店でバイトをしていた。焦ると体が宙に浮いて、天井近くまで移動してしまう(制御が難しい)ので、店長ポジションのおじさんに「もうまかない食べてきていいよ」と呆れられた。
4日前
休日だったため10時間寝てしまい、色んな夢を見すぎて覚えていない。そんなに奇特な夢は見なかった。
3日前
ストーリー性の無い、ぼんやりとした夢だったため、あまり内容を覚えていない。
飛行機から脱出したり、崖を登ったり、海を見た覚えがある。
2日前
夢を見たことは覚えているけれど、どんな夢だったのかは覚えていない。
前日
あまり覚えていない。行きつけの服屋の仲良しの店員さんのSさんとキャーキャーしたり、味噌を買いに行ったり、味噌を買いに行った先で将棋の棋士の人と会話をしたりした。
・・・などなど、私が普段見ている夢は、恐らくそこまで奇妙な夢ではないことが分かりました。宙に浮いたり、海が出てくる夢は昔からよく見ている(単に記憶しやすいだけかもしれない)。
実食
ついに土曜日を迎えました。なぜこの日を決行日にしたかと言うと、バーのバイトが入っていたからで、食べ慣れているとは言い難いブルーチーズを、一人で消費しきる自信がなかったためです。ついでに話のタネになるだろうし。
うれしい5%OFF
思惑どおり、常連のYッくんとマスターが乗ってくれる。スティルトンチーズは成城石井で普通に販売しており、1パック60gだったので三等分したところ、就寝30分前に食べるのが望ましいにも関わらず、マスターはお腹が減っていたのですぐに食べてしまう。この人は単にブルーチーズが食べたかっただけだと思われる。
美味しい美味しいと食べられると、私もお腹が空いてくるにしたがって誘惑に抗えなくなり、就寝1時間ほど前に食べきる。スティルトンはかなりしょっぱかったけれど、ゴルゴンゾーラほどの癖はなく、ほどよい青かびの風味がアクセントとなり、とてもお酒に合います。非常に美味なチーズでした。
家に帰り、出来るだけ素早く寝支度を済ませてベッドにすべりこみ、就寝。そして見た夢は・・・
5時~6時の時点ではほとんど夢を見ていなかったと思われる。
そこから二度寝し、美容師のNさん(今の私の担当)に、髪の毛を黒と青のストライプに染められ、「こんなんで会社に行けるわけないじゃないですかー!」と文句を言ったら、Nさんは「えー。やっぱ駄目っすかね」とへらへらしていた。
・・・奇妙か?
前日までの5日分の夢と比較してもよく分からない。奇妙と言えば奇妙だけれど、そもそもこの夢を見た日は美容院の予約日で、私は前回Nさんに髪をめちゃくちゃ明るく染められてしまい、「これは会社員は無理です」とやり直した実体験があるので、その記憶から見た夢なのかもしれない。
それでいくと、焦ったら宙に浮いてしまう夢や、とつぜん将棋の棋士が出てきた夢のほうが現実感に乏しい分、奇妙だったと言える。
分からない…。やっぱり就寝1時間前までに食べてしまったせいなのか…? けれど、何の夢を見たのかも覚えていない日と比べると、髪をストライプに染められた夢は、奇妙だったとも言えるし…。
う~~ん、いまいち!
という結果でした。準備が入念だった分、満足が出来るほど『奇妙な』夢を見られなかったことが、少々心残りです。スティルトン自体はとても美味しかったので、またいつかリベンジしてもいいかもしれません。