なんともう一年の8.5%が終わってしまいました。
今月から去年から使っている手帳の運用をさらに深めて色んなことを書いたり記録化したり、今年の年間目標などを立てたせいか、いつになく気が急くような感じがします。
日々を無為に過ごさず充実させたいという思いが先に立ちすぎてちゃんと「今」を味わえていない気もするので、大局的な視点を意識して、ゆったりとした心構えを忘れないようにしたいです。(禅問答?)
それでは今月の振り返りです。
1week
お正月。特に何もなし。
親戚付き合いも無いので人の往来もなく、毎年正月休みはただの休日と変わらない連休を過ごしている。年末から読んでいたあまり面白くない西部劇の本を読んで、3日は小説好きの友達と3人で天満で昼飲み。
この飲み会で「マクドナルドをテーマとした同人誌を作りたいので、一緒に何か書いてくれませんか」と持ちかけたところ、酔っぱらっているからか二つ返事で引き受けてもらえたばかりか、人は何かしら『マクドナルドと自分』でネタを持っていることが分かり、ちょっと心強くなる。
週半ばに三浦綾子の『氷点』を読むのに初めて入った京橋のカフェ『SAIKAI』がわりと良くて気に入る。80年〜90年代のアメリカっぽい雰囲気のお店。
京橋にはあまり良いカフェが無いので、良いカフェの存在は大変貴重。
週末は久々に神戸へ。ポートアイランドにある神戸ファッション美術館で開催の世界の結婚式のドレスを展示した『祝祭の景色』に行く。
写真撮影がNGだったので、インドと東南アジアのどこかの島の結婚式のドレスが素晴らしかった記憶しか無い。近ごろではこういう時に備えて、展示に行くときは小さいメモ帳を持参した方がいいのかなと思い始めている。
そのあとは元町に移動して南京町の台湾カフェでお茶をして、大好きな広東料理屋さん『順徳』で晩ごはん。
『順徳』には予約無しで10分ほど待っただけで入れたのだけれど、日曜夜にこのレベルの味のお店に予約無しで入れるということに、しみじみと神戸の良さを再発見。次にひとり暮らしをするなら神戸の近くにすると思う。
2week
サボリーマンだけれどさすがにこの週はちょっと忙しく、会社のこと優先で過ごすも、連勤が出来ない体質であるため週半ばに前半休を取り、天神橋のカフェ『トキオナ』でフレンチトーストを食べてから出社する。
小春日和のいい天気の午前中に歩くのがメンタルにとても良かったので、今後も午前休を取って、中之島公園あたりを散歩してから会社に行く、といったようなことやりたいと思う。ピクニックもいいな。
日曜日に人生2回目(7年ぶり)のレーシック手術を行う。レーシック手術自体は2回目なので割愛。
天満の眼科病院で手術を受けたあと、その足で天満のシティホテル『ホテルダイキ』に投宿。
(画像は楽天トラベルさんからお借りしました)
このホテルはちょっと変わっていて、とてもレトロなだけでなく、猫が番頭をしていることで一部に有名な、ぜひ一度泊まってみたかったホテル。
本当に猫の「ヨドバシくん」が番頭をしていて、フロントの方に鍵をもらったとたんスッと現れ、
お部屋まで案内してくれるばかりか、
おさわりのサービスまであるという、ものすごい職業意識を持ったしごでき猫さんで感動した。
ホテルは高架線路の間近すぎて、耳栓必須の騒音だったものの、部屋がめちゃめちゃ広く、古いけれど掃除が行き届いていて気持ちが良いホテルだった。
絵になるというか、物語になりそうな素敵なホテル。
(楽天トラベルさんの画像。こんなレトロなお部屋もある)
3week
レーシック手術休みを取っており、水曜日まで会社を休む。スマホの小さい字を読むのも目がしんどく、ほぼ寝て過ごす。
水曜日にはカーシェアの月額代の元を取るべく、一ヶ月ぶりに運転してデカい池のある公園に行く。
デカい公園をそろそろ攻略しつつある。
週末は会社の先輩と二人で『エリックサウス西天満』で新年会。この店は1ポーションの量が二人前なので、理想は3人くらいで行くのがいいと思う。
頼んだスパイス料理がどれも本当~~~に美味しくて楽しかった。私はスパイスがたくさん入っている料理がめちゃくちゃ好き、ということを再認識。
4week
新年会ラッシュの週。
水曜日にランチ新年会。
10年に一度の大寒波が襲来していたので、心斎橋で昼からサムゲタンが食べられるお店で韓国料理を食べたあと、なんばの純喫茶アメリカンに。
念願のホットケーキを食べて大満足。
アメリカンはすごく古くからある純喫茶だけれど、なんばという土地柄からなのか17時頃から多種多様な人間が次々と来客し、老若男女で賑わっていた。
木曜日は小説スクールのメンバーで新年会。(写真無し)
金曜日には先月の読書会で出会った女子3名で新年女子会。私が心底愛してやまない本町の洋食居酒屋「サル食堂」で盛大に飲み食いする。この店こそ理想は4人で行くべき店だと思う。ほんと美味しかった。このお店は何を頼んでもすごく美味しい。今年もたくさん行きたい。
このほかにも色々食べた。
この日はすごい食べて、翌日から2日間胃腸がオーバーヒートした。
読んだ本
トム・リン『ミン・スーの犯した幾千もの罪』
小島秀夫など各方面が絶賛していた西部劇復讐もの。どんなに凄い本かと期待していたら、なんか・・・ぜんぜん・・・その・・・ちょっと・・・。
著者のトム・リンは本書で25歳でデビューしたということなのですが、そんなに若い世代がこんなにもオールドファッションな物語を書いたことが意外。
主人公が中国人であること、異能力を持つ奇術ショーのメンバー、ヒロインが炎女であること、これらの設定すべてが物語において特に意味を為していない、ということに何より驚きました。
三浦綾子『氷点 上・下』
非常に有名な往年の名作ですが、今まで読んだことはありませんでした。
それが去年Twitterで読んだたぬポンドさんという方が描かれた『氷点』のコミックエッセイが非常に良かったので、満を持して手に取った次第です。
本好きの皆様、本の世界にのめり込んだきっかけは何ですか?
— たぬポンド (@tan_uk_ijiru) 2020年11月28日
小さい時から本をたくさん読んだ事?
親の本棚にたくさんの本があった事?
私は、1999年10月12日
ある作家が亡くなったことです。
『氷点』で私の心は燃えた。|£ (ポンド) @tan_uk_ijiru #note #読書の秋2020 https://t.co/VExQw7NG7J pic.twitter.com/uLMkegqtaE
『氷点』自体は、文体がものすごく古めかしく、樟脳の匂いを思わせる昭和の香りに満ちていていて、まるで国語の教科書のように読みやすかったです。
あらゆる場面において、勝手に脳内に70年代の少女漫画の絵柄やそれっぽい昭和ドラマのシーンとして再現されるあたりに、本作が後世に与えた影響の大きさを感じさせられました。もはや名作を超えて古典。
現代の目から見ると、テーマである「殺人者の子ども」という原罪を負わされた主人公に、本作が大流行した終戦20年後の時代がどう響き合ったのだろうとか、きっと読者からめちゃくちゃ嫌われただろう夏枝も、たっちゃんのように自分の才能を活かした仕事を持つ機会があれば、自分の美貌以外に拠りどころを持てたんだろうなということを思いました。
マーサ・ウェルズ『マーダーボット・ダイアリー 上・下』
ときどきオタクの人たちが「弊機可愛い」「弊機たまらん」と言っているのが気になって、苦手な翻訳SF小説に挑戦してみました。
やっぱり畑が違うので読むのが難しかったのですが、弊機は確かにめっちゃ可愛くてカッコよかったです。不愛想でコミュ障なのにドラマオタクでくっっそしごでき警備ロボットが垣間見せる巨大感情とか、キュンと来ない人いるんですか?
はやくネトフリで映像化してほしい~~~~。
敵のドローンやシステムをハックして一斉に反撃に転じるシーンとか、私の脳内上映では確実に面白さが目減りしている。
三宅香帆『女の子の謎を解く』
面白かった!
若手実力NO.1の人気書評家・三宅香帆さんの批評本で、本書は「物語のヒロイン」という存在にフォーカスをあてたもの。
批評というものを行うには、こうまでも古今東西の歴史や文学に通じていなければ出来ないのか~~~と、批評家の凄さを目の当たりにする一冊でした。なおかつそれが、めちゃくちゃ分かりやすい!
三宅香帆さんは今は亡きcakesで連載時代から、なんて分かりやすい言葉で深いところまで行き渡る文章を書く方なのだろうと惚れ惚れしていましたが、本当に凄い方ですね。
『推し、燃ゆ』がケアの物語だったなんて、全然わかっていなかった。
今まであたりまえに目にしていたものの風景が、読み終わったあとにすっかり変容してしまう。それが名著の条件ならば、本書はまさしく名著です。
NHK『100分de名著セレクション』
人生の数十年をかけて読むにふさわしい名著を、忙しい現代人のためにたったの100分で解説するNHKの人気番組『100分de名著』で紹介された作品を、さらにたったの6ページにまとめた、時短の令和に生きる我々のために書かれたファスト解説本。(?)
というのは悪ふざけで、単に「100分de名著、どれを読めばいいの?」という思いから読んだんですけれど。
・徒然草
・ファーブル昆虫記
・ブッダ 真理のことば
・実存主義とは何か
・茶の心
あたりが気になりました。アンネの日記から読んでいく。
フランシス・ハーディング『ガラスの顔』
これが今月のベスト本。
2冊目のハーディングですが、本作も最っっっ高~~~~でした。
『カッコーの歌』とは違い、今回は完全なる異世界ファンタジーもの。舞台は大長官なる存在が500年を統べる地底都市・カヴェルナ。臣民たちはゆるぎない階級制のもとで暮らしており、階級によって持てる表情の数が決まっている。
始めはちょっと分かりにくいな~と思いながら読んでいたけれど、ハーディングが綿密に設計した地底世界の輪郭や色彩が私の目にも見えるようになると、その面白さと奥深さにのめりこみ、やがては主人公ネヴァフェルの一挙手一投足から目が離せなくなり、ラストの2章の展開と勢いと熱さには久々に頭がヒートしました。もう本当に面白かった。
地底世界だけに『メイド・イン・アビス』とか好きな人は無条件にそそられるかもしれない。(ほんまか?)
ラストシーンの美しさが、ちょっと言葉にできないくらい見事でした。
設定も非常に凝っていて、カヴェルナでは労働階級は表情を奪われているけれど、これを日本で言うなら「話す力」が奪われているのかな・・・とか、チルダーシン家という大きな家父長制を破壊したのがズエルという少女であることとか、読み終わったあとも考察し甲斐がある、奥行きと厚みのある物語でした。
以上、1月の振り返りでした。