ごんブロ

本や漫画や映画の感想が多めの日常ブログです

2023年4月の振り返りと読書記録

 

4月もいろいろなことがあり、これまでのような週ごとの振り返りで書くと長くなりすぎるので、今回はためしにトピックスごとに振り返る書きかたでやってみる。

 

 

おでかけ

 

田辺聖子文学館

 

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大好きな作家、田辺聖子さんの文学館へ行ってきました。

田辺聖子さんの母校で、今は東大阪市にある大阪樟蔭女子大学の図書館の一角にもうけられています。

田辺聖子さんは物持ちが良かったようで、そうとう昔のものも良い保存状態で残っていて、予想以上に見応えがありました。

小学生のころからすでにあふれる創作魂を持ち「本」を作っていたこと、田辺聖子の文学の半分は古典によって占められていることから、田辺聖子という作家を真に理解するには、古典を読まなければはじまらないということがわかるなど、田辺聖子についての新たな学びや知見が得られる、ファン歓喜の文学館でした。

 

 

 

ファン歓喜・・・!

 

食べたもの

堺筋本町『YAICHIRO』

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一度行ってみたかった人気のイタリアンバル。

ポーションが1人前なのでひとりでも頼みやすい! そんで美味しい!!

予約して友達と行ったけれど、友達を待っている10分くらいのあいだにもぞくぞくと予約をしていないお客さんたちが来て、あっという間に満席になっていったので、17時台にひとりでサクッと入って食べて飲む、みたいな使いかたを今度はしてみたい。



八尾市『とんかつマンジェ』

 

 

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大阪でいちばん美味しいとんかつ屋さんとして有名なお店。

予約方法が、当日にお店の店頭に出ている予約ボード表に名前を直接書くという、この令和において恐ろしくアナログなやりかたしか無いにもかかわらず、大人気で入れないことでも有名。

たまたま知人に声をかけてもらえて行くことが叶いましたが、ほんとに美味しかった。

でももはやこれは、美味しいとかそれなりとかじゃなく、「マンジェに行った」という経験そのものに価値が付与され、味覚にバイアスがかかっていたような気もする。

 

特上ヘレ

美味しかったけども!!

 

 

今里『炫屋』

 

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めちゃくちゃ新鮮なお肉をたいへんなお手頃価格で食べさせてくれる、アットホームな焼肉屋さん。今里駅からちょっと離れたへんぴなところにあるけれど、足を運ぶ価値がじゅうにぶんにあります!

お肉でお腹がはちきれそうになるくらい食べて飲んでも一人6千円くらいなので、ほんとうにめちゃくちゃ良い。また行きたい。

 

デザートのロイヤルホスト



本町『サル食堂』

 

B定食(左からトンテキ・エビフライ・ハムエッグ)

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心から大好きな洋食居酒屋さん。

定期的に食べないと生きていけないと思っていたB定食ですが、今回でようやく、食べている最中に「飽き」を感じたので、次回からはようやくB定食以外のものを注文することが出来るという、わたしと『サル食堂』の第2ステージが始まった気がします。



福知山市柳町

 

 

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福知山市の名店。由緒と歴史のありそうな日本建築のなかで、名物の鴨すきと親子丼を頂きました。超美味しかった!



4月の挑戦

初ひとりスタンドバー飲み

 

スタンドバーには何度も行ったことがあるし、ひとりごはんも出来るけれど、ひとりスタンドバーは抵抗感があって出来ないことに気づいたのが3月。ということで4月の挑戦としてみました。

それでもやっぱり1軒目は行ったことがあるお店、福島『ジャックとマチルダ』へ行きました。

 

 

飲んでいるうちに温かいものが食べたくなって、2杯で切り上げて2軒目は『ジャックとマチルダ』すぐのおでん屋さん『路地裏アバンギャルド』へ。(同じ系列店らしいよ)

 

 

 

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はじめてひとりで立ち飲みというものをしてみて、思ったのは「立ち飲み」というお店は、次に予定だったり、会う友達であったり、帰る場所だったり、なにかしら「あて」があるひとたちが「通過」する場所なんだなぁということでした。基本的に、あてもなくひとりでフラッと行って面白いものではない気がする。あくまでわたしの場合は。

立ち飲みは行くなら二人のほうが良い。それがわかった挑戦でした。



観た映画

 

エスター』

 

前作はそこまでB級映画ではなかったと記憶しているのですが、今回はB級に振り切っていて、いっそB級映画としての矜持を感じました。面白かったです。

 

 

 

『劇場版名探偵コナン 黒鉄の魚影』

 

今年のコナンはずば抜けて良かった。

 

 


プレイしたマダミス

『ホワイト・レイヴン、レッド・ダイ』

 

これはめっちゃ面白かった! シナリオもギミックもとても良い。

でも参加した会が、むちゃくちゃていねいに時間をかけてプレイする会で、3時間くらいが目安のプレイ時間に対し、6時間かけるという、冗長すぎて疲れ果てるマダミス会だったのがネック。せめて4時間半でいいよ!!



『腐草館からの招待状』

グループSNE作品。アークライトというメーカーらしい。

シナリオが厳しめで難しく、犯人役にみごとにしてやられた。

これはいつもの京橋のカフェ『NAGARABBIT CAFE』のメンバーでプレイしたんだけれど、2月に初めてマダミスを知ったメンバーが、どんどん上手くなっていくのが面白くて楽しい。このメンバーでマダミスをするのがいちばん楽しいということを改めて実感する。



ハムレット殺人事件』

セカンドステラ作品。これが同人マダミスというやつなのかな。

はじめて作品の出来が悪いと感じたマーダーミステリー。プレイ人数が6人というのもネックなのかも。4人は問題外で、5人でも厳しく、6人以上からがやっとマーダーミステリーとして成り立つ人数だけれど、シナリオがいまいちだとさらに分が悪い。

腐草館もそうだけれど、やっぱり制作元がグループSNEのマダミスじゃないとなぁと思わされた。



読んだ本

成田龍一『戦後日本史の考え方・学び方』

1950年代以降の歴史については、学校の授業で学んでいないこともあり、ぜんぜん詳しくなく、それが私にとって政治や世界情勢の「よく分からなさ」に繋がっているよなぁということは、もう10年くらい前から思っていたのですが、この年まで勉強が延び延びになっていて。

そこで河出書房が中学生向けに出している「14歳の世渡り術シリーズ」の一冊である本書なら、なにしろ出版社がしっかりしているし、内容も非常に分かりやすいため、自分のニーズにぴったりでした。

歴史学者の著者が、くり返し「歴史を考えるとはどういうことか」について説き、1945年から2008年くらいまでの日本に起きたさまざまな出来事を、その背景や関連項目もふくめて説明していく。

歴史とは、立場や目線が違うだけで、同じ「時間」でもまったく別の物語となる。

教科書に記述される戦後日本史は中央(首都)で起きたことばかりだけれど、むしろ戦後の本質は、水俣や沖縄などの周縁に起きたことにある、という話がすごく心に残った。

よく日本という国は2000年の歴史がある国だ、というような文節を見るけれど、いまの日本というのは(明治維新から生まれ)敗戦を転換点として新たに建国された国なんだなという理解が深まったし、もちろん戦後日本の動きも頭に入って、とても良かったです。



中脇初枝『世界の果てのこどもたち』

Twitterでフォローしている学校図書の司書さんが昨年のベスト本に挙げていたので調べたところ、主人公である6歳の少女3人が出会うところから始まる、満州の物語だというので俄然そそられて読みました。

すごく面白かったし、ものすごく過酷な物語だった。日本からほとんど強制に近い形で満州に移住させられた日本人たち、通称満蒙開拓団について非常に無知だったので、彼らを襲った凄惨極まりない運命には絶句して、あまりのつらさに泣きながら読み進めていました。

これまでにもおりおりに戦争文学には触れて生きてきましたが、考えてみれば30代になって戦争文学を読んだのは本書が初めてで、感じかたがより自分ごととして受け取れるようになっているのを意識しました。もしくは、本書が徹底して弱者が経験した戦争を描いていたからか。

戦争は兵士が戦うものだから、自分には累が及ばないと思いがちだけれど、真に過酷でむごくて絶望的な「戦争」は、立場の弱い市民が引き受けさせられ、戦わされるということがよくわかる一冊。

あんなにもたくさんの日本人が「もう戦争はたくさんだ」と思ったのに、たったの80年で戦争の記憶が風化して、日本がまた戦争をしようとしていることが、本当に恐ろしくてたまらない。

自民党が政権与党で有り続ける構造は、自民党支持者よりもはるかに多い、選挙に行かない市民がそれを支えているわけだけれど、本当に戦争にならないとわからないのだろうか。



雨宮処凛『14歳からの原発問題』

これも安心信頼の河出書房「14歳の世渡り術」シリーズから。

原発なんて戦後日本史よりも習うことがなかったので、恥ずかしいほどに無知なんだけれど、原発問題は世界中で取り沙汰されるトピックスなので、いい加減にちゃんと知っておこうと思って。

けれど、本書を読むことで、平成に生まれて大阪で育った私が原発について無知ということが、そもそも権力者側の作為によって生じたものだったのではという感想を持ちました。恐ろしいことに、大阪では東日本大震災で起きた世界史上最悪の原発事故すらも「他人事」だったので。

原発のことを考えたこともない、考えなくても生きていられる、それが特権であることにも無自覚でいられる大阪について考えるにつけ、成田龍一『戦後日本史の考え方・学び方』にあった『戦後の本質は中央ではなく周縁に起きたことにある』という言葉が思い出されました。

1966年から日本中の電力供給を担っていただけに、原発が無い日本を想像出来ず、原発が無ければ電気に困るんじゃないかという、当然抱く疑問についても、専門家による否定が分かりやすく成されていて安堵したほか、原子力発電はビジネスモデルとして破綻しており、自民党河野太郎ですら脱原発派ということを知って、もうやめるしかないじゃん…という意見を強くしました。



平野啓一郎『本心』
本心

本心

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以前同じ作者の『ある男』を読んだら、文章が美しすぎて昇天しそうになったので、またそういう気分になりたくて読みました。結果、読んでいる最中、何度も本を抱きしめて床に転げ回りたくなるくらい良かったので、もう言うことなしです。

文章が美しい、とはどういうことなのかというと、一つには「比喩が美しい」というものがあって、平野啓一郎のそれは、たぶん現代日本文学で最高峰だと思います。レトリック最高作家。

文章ばかりを絶賛しているけれど、内容もたいへん良かったです。もっと平野啓一郎を読もう。



川上未映子『黄色い家』

読書家を自称していながら、川上未映子を読み通したことが無いことに若干の後ろめたさを抱いてましたが、今回の最新作『黄色い家』で、やっとはじめて川上未映子を読み切ることが出来ました。そして分かったことが、私は川上未映子の文章が苦手で合わない。

前作『夏物語』は100ページあたりで挫折して、それは主人公女性の大阪弁で構成されるダラダラとした一人称が原因だと思っていたけれど、本作『黄色い家』も、紙面を異常なレベルで埋めつくす一人称によって物語が展開するため、平野啓一郎のような文章を好む私には、ちょっときついものがありました。

90年代の東京を舞台に、寄る辺のない子どもである主人公が、初めて出来た仲間を守るために金稼ぎに奔走するというのが本作の大筋。内容は普通に面白いし、こういった物語にしてはたいへんめずらしく、男がぜんぜん関わってこないというところが新鮮かつ心地好かったです。心理描写があれほど長すぎなければなぁと思う。



安堂ホセ『ジャクソンひとり』

黒人ミックスの著者による、黒人ミックスでゲイの男性が主人公の純文学かつ前回の芥川賞候補作という触れこみに惹かれて読んだけれど、もうひとつだった。まぁ純文学らしいといえばそうなのかも。



グレアム・スウィフト『マザリング・サンデー』

ブッカー賞受賞作家による中篇小説。大変に素晴らしかった。

マザリング・サンデーとは、奉公人が年に一度の里帰りを許される日。まるで6月のような陽気に包まれた1924年の3月30日のマザリングサンデーの日、22歳のメイドのジェーンは、7年来の身分違いの恋人・ポールが待つ屋敷へ向かっていた。2週間後に良家の娘との結婚を控えるポールとの、最後の逢瀬を交わしに。

やがてジェーンは作家として大成するが、自分の人生が変わったこの一日のことを、70歳になっても、80歳になっても思い出す。

静謐ながらも、輝くように明るい早春のバークシャー地方の美しさと香気が伝わってくる優れた筆致で、歓びと喪失と始まりが描かれる、つくづくと良い小説でした。翻訳小説の理想のような小説。



宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』

Twitterの読書アカウントのほうぼうでも話題騒然の青春小説。

もう めちゃくちゃ良かった!!!

滋賀県大津市を舞台とした、女子中学生二人が主人公の、とくに何も起こらない物語なのに、誰がいつの時代に読んでも面白い、普遍的な良さを備えたエンタメ小説。漫画でいえば和山やま先生のギャグ漫画のような温度感。つまり最高ということ。

主人公の成瀬あかりは、一見エンタメ小説あるあるの「エキセントリックな天才」キャラではあるんだけれど、でもけっしてそれだけではない、唯一無二の魅力がつまったキャラクターで、読むといっぺんで大好きになってしまう。

主人公二人のことが大好きなあまり、最終話は爆泣きしながら読んでしまうくらい、ひさびさに夢中になった一冊でした。現時点でことしのNO.1小説。

 

ということで、4月に読んだ本は8作でした。

4月はちょっと集中力が必要な読書がしたくて「学び」や「分厚さ」を意識した選書をしていたので、最後に『成天』を読んだのがちょうど良い息抜きになったと思います。

5月はあと2冊「学び」重視の本を読んだら、読書よりも映画鑑賞に比重を置きたい。

 

 

反省など

4月は睡眠時間が3月よりも取れなかった。遺憾!

けれどこれはなぜかというと、4月はちょっとモヤモヤすることや満足いかないことが多々あり、そんなことがあった日は、サクッと寝床に入れないというパターンが見られたので、なにか有効な手立てを考えなければならない。私の場合は風呂ぐずが多いので、問答無用で裸になるとか。

4月にうまくいかなかったことの原因をよく考えて、5月はもっと自分主体でものごとを進めたい。