久しぶりのブログ更新です。丸一ヶ月ほど放置していました。
4月の第1日曜に京都競馬場で開催されたマラソンイベントに久々に参加した翌日夕方から急性咽頭炎で高熱を出し、市販の風邪薬も病院の解熱剤も効かないために丸々一週間を寝付いて過ごし(今思うとインフルエンザだったのか…?)、翌週も病み上がりで今一つ調子が悪くブログを書くような気にならなかったのです。
今ではすっかり元気で体力と気力が充実しているので、本当に健康は大事。超大事。(しょっちょう言ってる)
なんだか今年に入ってから二度も風邪を引いてダウンしているので健康オタクとしての自負がズタボロなのですよ。一人暮らしをしていた時の方が風邪を引かなかったことを考えると、通勤時間が短いこと、自炊して体が必要としている食べものをもりもり食べていたことが健康体を支えていたのかもしれません。
寝付いたりお家に引きこもっている時というのは読書がはかどるもので、今月はとりわけたくさんの漫画を読みました。
電子書籍の時代は寝ながらでもお金をじゃんじゃん使えるので危険ですね。どこにも出かけていなくともしっかり経済を回していましたよ。
ということで今月の読書録です。
◎ミステリと言う勿れ1〜4/田村由美
作者の田村由美さんは普通に天才の方なので当たり前だけれどやっぱりめっちゃ面白い。
主人公の整(ととのう)くんが徹頭徹尾「平成生まれの男の子」として描かれているのが地味にすごいと思うのです。田村由美さんの世代の方が描いていることを思うとなおさら、よく描けるなぁと。
平成で生まれ育った私でもここまで平成…というか21世紀生まれの男の子を正確に描くことは出来ないと思う。田村さんはどうしてこんなに若い男の子の姿を描けるのだろう。それがすごい。
◎どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している/水谷さるころ
幻冬舎プラスで公開されていた「夫が変わった日」が興味深すぎて買ってしまった。さるころさんの著作は結構読んできたのですが、それだけにオノDさんってそんな人だったの?! とちょっとびっくりしました。(月に1〜2回くだらないことでキレるなど)
「夫が変わった日」は本当に面白いので色々な人に読んでほしい…。
◎彼方のアストラ1〜5/篠原健太
最高に面白かったです。
宇宙×遭難×青春ものなのですが、すべてにおいて完成度が高い。研ぎ澄まされているレベルの面白さ。一つだけ文句をつけるとしたら「全5巻は短すぎる」くらい。もっともっとみんなの冒険をずっと読んでいたかった、そんな気持ちにさせてくれる最高の漫画。こういう読後感を味わいたくて私は物語を読んでいると実感する。
あまりに面白いので初見は「うわああああああああ(続きはよ)!!!!!」っていうテンションで読んでいたのですが、二度目にゆっくり読み返したら色んなシーンで泣いてしまいましたよ。主要キャラ全員大好きすぎる。
あとものすごくニッチなツボなんですけれど、キャラクターが多い作品でせりふの吹き出しだけがあって「誰が喋っているのかよく分からん」というコマがあるとして、次に読み返した時に「あいつとこいつとあいつが喋っている」と瞬時に分かる、みたいな感覚がめちゃくちゃ好きなんですけれど、それが『彼方のアストラ』では味わえます。(誰得情報)
◎進撃の巨人28/諌山創
サシャのお父さんのシーンで号泣しながら読み進めました。
やっぱりこの物語はすごすぎる。ここまでちゃんと描くところがすごい。
あまりに面白すぎるので読んでいる間はあんまり呼吸が出来ていない気がする。
◎すべて愛のしわざ3/もんでんあきこ
絵もお話もとっても上手なエロ漫画家の作品なのですけれど、なんかこういまいち変態性に欠けているというか尖ったところがないんだよなぁ…(と思いつつもつい買ってしまう)。
めっちゃがっつりセックスしているんですけれど、なんかライトなんですよね。逆に濃いエロ漫画が苦手な方には良いのかもしれない。
◎さんかく窓の外側は夜7/ヤマシタトモコ
ヤマシタトモコさんの作品の中でいちばん続きが気になる作品。
この作品は何をもってもとにかく冷川さんが最高なんですよ。
もう素晴らしく作者の「フェティシズム」が詰まった魅力的なキャラクター。フェチというか偏愛というかこだわり。(もんでんさんのエロ漫画に足りないのはこれだな)
冷川さんというキャラクターを鑑賞するために読んでいる作品。「いやぁ、いいですねぇ〜〜〜」と良い壷を鑑賞するような心境で読んでいます。
先生とかエリカちゃんと逆木さんの「血の繋がっていない家族」な関係性とかにも大変萌える。いやぁこれは見事な壷…ほぉぉ〜〜…!
◎美しい彼/凪良ゆう
BL小説はほとんど読まないんですけれど凪良ゆうという作家さんには絶大な信頼を寄せています。この方が書く物語はお手本のように読みやすくてご都合主義な展開がないところが好き。
久しぶりに乙一の小説を読みました。
原案が岩井俊一の映画なためか極力乙一臭を消した筆致で描かれていたのであまり「乙一を読んだ」という気がしなかったのですが、徹子が同級生の男の子をぶちのめすシーンが大変に乙一でめちゃくちゃ良かったです。
でもってなんかこう、岩井俊一って女子中学生に夢見すぎのおっさんでは…? と大人になった今思うっていう。自分が女子中学生の時「Love Letter」を読んだ時は岩井俊一すてき!!すき!!って思っていたんですけれどね。15年経って読むと、あれ…?(ちょっと…^^;)みたいな。
◎かいじゅうタイムズ/乙一
乙一の「小生日記」がめちゃくちゃ好きで、また日記式エッセイを書いてほしいなぁと常々思っていたんですが、あるじゃないですか!! Kindle限定で!!!
見つけた時は大興奮しましたよ。
でもこれは新聞に掲載していたエッセイなので「小生日記」みたいな本当に日記といった内容ではなかったのでちょっと不完全燃焼。
だからさ〜〜〜〜、やっぱりさ〜〜〜〜、日記ってすばらしいんだって〜〜〜〜〜。日記書こうよみんな〜〜〜〜〜!!!!
◎マージナル1〜3/萩尾望都
萩尾望都さんの文庫版作品って絵が小さいのであまり買いたくない(大きな版でほしい)のですが、電子書籍(Kindle Fire)だったら解決じゃん!! ということに気づき、十代の頃に一度読んだきりだった「マージナル」を読み返すために購入。
この作品はたぶん萩尾さんがアラサーの頃に描かれたと思うのですが、やっぱりもうとんでもない天才すぎやしませんか????? なにこの題材????? すごすぎ?????(語彙力の欠如)
男しか生まれなくなった不毛の地球を舞台に、世界の真相を教えられないまま独自の社会に500年間閉じ込められて生きている人々を描いた物語なのですけれど…。めちゃくちゃ面白い…。掲載から20年以上が経っている今読んでもとんでもなく面白い…。
読み終わったあとはなんだか感極まってボロボロ泣いてしまった。すごい、としか言いようのない物語。
あとやっぱりエメラダが可哀想すぎて…(´;ω;`)
「パブリックスクール」を読んで以来、寄宿学校×青春ものを読みたい欲がくすぶり続けている状況にあります。
探しているんですけれどなんか見つからないんですよね〜〜〜〜。絶対あるでしょうにどこにあるのやら。ハリー・ポッターみたいな寄宿学校ものさぁ〜〜〜〜。
ということでとりあえず30年前の少女小説「クララ白書」を読んだ次第ですが、やっぱりちょっと微妙に求めているのと違うんだよな…。いやでも面白かったです。谷川史子さんのイラストが完璧に勘所をつかんでいるあたり、谷川史子さんってすごいんだなぁと改めて感じた。この人材を配置した編集も有能の極み。
あと氷室冴子さんって古典の知識がずば抜けて高くて、この時代の女性作家って本当に頭が良いというか、頭脳と教養のレベルが今の作家と全く違うんですよね。米原万里さんとかもそうだけど、即興で短歌を詠めたりするんですよ。どこでそんなの習うの??(ゆとり教育育ちの困惑)
◎ゆりあ先生の赤い糸1〜3/入江喜和
大好きな入江喜和さんの新作。むっちゃくちゃ面白い。
こんなに少ない登場人物でなんでここまで面白いものが描けるんだろうって思うほどに面白い。これはドラマ化してほしいわ…! すごい低予算でも出来ますよ…!!(そこかよ)
入江さんは「みんなが描かないような地味な人を主人公とした作品を描きたい」というポリシーの持ち主で、やすこさん(おかめ日和)にしてもたかこさん(たそがれたかこ)にしても巻が進むごとにじわじわ大好きになっていくものですが、ゆりあ先生に関しては1巻からすでに大好きです。かっこ良い…。ゆりあさん好き…。男顔で大柄でスタイル抜群って見た目も最高…。
◎ブルックリン
ちょうど良い良作映画でした。しみじみ良い。
18歳くらいの内気でまじめなアイルランド人の女の子が一人ぽっちでニューヨークに移住して、激しいホームシックに苛まれながらも新大陸で自分の居場所を見つける、ただそれだけの何も起こらない静かな物語なんですけれど、一人の女の子が成長していく様がじっくり描かれていてそれがしみじみ良い。
大人になるということは自分の人生を選択するということ、決断するということ。選択するとはもう一方を選択しないということ。他ならぬ自分の手で切り捨てるということ。
そのことがまざまざと描かれた味わい深い作品でした。
マーベルのヒーロー映画で監督は20代でロッキーのスピンオフ「クリード」を作った若き才能であるライアン・クーグラーでアメリカでは大ヒットした作品ということで「ひょっとしなくてもめちゃくちゃ面白いのでは?」と期待して観たのですが、とんだ期待外れでした。途中で観るのやめました。
なにがつまらないって、主人公が作品世界上でめちゃくちゃ肯定されているんですよ。そもそも王子様だし。生まれも育ちもめちゃくちゃ恵まれていて誰からも愛されていて幼なじみの可愛い女の子と相思相愛で、王女であるティーンエイジャーの妹は国一番の天才科学者でお兄ちゃん大好きっこなんですよ。クソみたいなラノベか。
私は「進撃の巨人」が大好きなんですけれど、その正反対である「主人公が初期設定段階から肯定されている物語」ってどうも受けつけないみたいです。ブラックパンサーを観てそのことに気づきました。「進撃」なんてキャラクター全員めちゃめちゃ生きることを否定されてますからね。そういう物語の方が好き、というか共感する。
ブラックパンサーみたいな物語って別に作らなくていいじゃんとすら思う。こんな男子中学生の妄想みたいな物語、誰が共感して誰が救われるんだよ。
あまりにも自分の中の「物語」に対するスタンスと違いすぎる作品でした。
◎MONUMENT あるいは自分自身の怪物/滝川廉治
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ものすごく面白いラノベだと聞いて期待して読んだのですが、えらいこと小難しくていつになったら面白くなるのだろうと思っていたら最後まで盛り上がらずに終わってがっかりでした。
私の教養や読書量が少ないせいでもあるのですが、とてもつまらなかったです。結局モニュメントはなんやねん。あと「魔法のある世界」と現実世界はなんらかの繋がりがあるのかと想像して読んでいたのですが、何も無いってことでいいのでしょうか。
作中では聖書や哲学や心理学からの引用が多様されるのですが、それなのにキャラクターが典型的なアニメキャラであまりに内容にそぐわないんですよね。こんなに人を選ぶ尖った作品にするのなら幼稚なアニメキャラみたいなキャラ造形をする必要なんてないと思うのですが、作者の趣味だったのでしょうか。(編集の指示だとすればあまりに無能だと思う。)
以上、15作品でした。
本当はあと早乙女もこのさんの「狂王子の歪な囚愛」が完結したのでそちらについても言及したかったのですが、この作品については個別に感想を書きたい気持ちもあって、またの機会ということで…(書く書く詐欺になりそう)。