週末は海に行って無事に夏を納めてきた。
今回は20人を超す大人数での夏旅行だった。
楽しかったかというと普通に「楽しかった」のだけれども、旅費3万円の価値があったかというと無かったので(満足度を換算すると1万5千円くらい)、たいへん微妙な心境。
というか今書いていて自分でも「あたりまえだろ」としか思わないのだけど、大人数での旅行ってむっちゃだるいな。
5人で行った富士急ハイランドとかこれまで参加した合宿なんかがすごく楽しかったから、今まであまり気づかなかったけども。
自分で選抜したわけじゃないメンバーとの旅行ってすごくだるい。
「私もう歩きたくないんだけど!」という本音を素直に言えない間柄との旅行にはもう二度と行かないでおこう。
そんなことを思った2017・夏。
ところで昨日は『ルビンの壺が割れた』を読んだよ。
※ルビンの壺が割れた・・・
「凄すぎて、キャッチコピーが作れないから異例の全文web公開して読者からキャッチコピーを募集するよ!」という販売戦略を打つことで見事に話題に。(さっき調べて知った。)
こういう書簡体小説って大好きです。
宮本輝の『錦繍』しかり、ちょっと違うけれど岩井俊二の『Love letter』しかり。
井上靖の『猟銃』も好きすぎる。(もはや往復しないけれど)
小説の中に出てくる手紙ってもの凄く味わい深くて大好き。
なんだろう、もともと小説というもの自体が「虚構の世界」なのに、
その「虚構の世界」の中で出てくる「手紙」のみで構成された世界というのはつまり、
更にもう一段階創造された「虚構の世界」なので、ほかにはない不思議な味わいがするのですよ。
合わせ鏡の中の世界のような奥行の深さというか。
あと単純に読みやすい。(大事)
『ルビンの壺』はFacebookのメッセージのやりとりのみで綴られるお話。
29年ぶりにFacebook上で再会したワケありの男女、一馬と未帆子が3年余りをかけて
やりとりを重ね合うことで、昔二人にあったことが断片的にじわじわと判明してくる。
このあたりはまさしくだまし絵「ルビンの壺」が描かれたパズルのピースが徐々にはまって全容が見えてくるようで、ページを繰る手が止まりませんでした。
・一馬と未帆子は学生の頃に出会い愛し合い婚約までしていたが、未帆子が結婚式の当日に失踪したため結ばれることはなかった。
・なぜ未帆子は失踪したのか?
という謎に向けて収束していくストーリー。
短いので1時間足らずのあっという間に読み終えてしまうのも気持ちよい。
何かの合間に予備知識なしでサッと読むのがおすすめです。
以下ネタバレ感想
・いくらなんでも自分が密告したことで捕まった殺人犯からFacebookであんなメッセージが来たら30年経ってようが返信するわけねーだろ。アカウント消すわ
・「優子」のめっちゃどうでもいい設定(スペイン人のクォーター・同じ屋根の下できょうだいのように育った血のつながらない妹で一馬は「お兄ちゃん」と呼ばれている)がめっちゃエロゲでこの部分に関する作者のこだわりがなんか浮いてて笑う
・作者の宿野かほるは覆面作家で性別も年齢も不詳とされていますが、上記のことから若い男の人か童貞脳の中年男性で間違いないと考えます