ごんブロ

だいたい月に一度、本や映画の感想を書きます

自分にとって最適な選書をするため、本を読む動機を解体してみた

 

 

‟人生は短いのに、読む本は多い” とは、書評家のDainさん*1の言葉であるが、けだし名言であると、齢を重ねるごとに思う。

会社員である私が一年に読める本は、だいたい50冊~89冊くらい。本を読むには体力と視力が要ることから、生涯で読める本には限りがある。できるだけ効果的な読書をするために、どうすればいいのか考えてみた。

 

 

 

 

最適な選書をする

 

効果的な読書にもっとも必要なことはなにか。それは自分にとって最適な選書である。本はただでさえ多いのに、私はエンタメも純文学もエッセイもノンフィクションも人文書も好きだ。

ということで、このあたりで一度、自分の選書方法についてきちんと考えてみることにした。それはとりもなおさず、自分がなぜ本を読むのか、なにが得たくて本を読むのかという“動機”について考えることでもあった。

 

 

その本からなにが得たいのか?

 

私が本を読む動機を考察したところ、だいたい6つに大別された。

 

  • 楽しみたい
  • 知りたい
  • 分かち合いたい
  • アイディアを得たい
  • 文章がうまくなりたい
  • 義務

 

ひとつずつ解説していきたい。



6つの動機

 

楽しみたい

見てのとおりの、読書をする人のなかでこの動機を持たない人はいないと思われる、一般的な動機。エンタメ、エッセイを読む理由は基本的にはこれ。楽しみたいから読んでいる。



知りたい

知的好奇心に基づく読書がこれ。ノンフィクション、歴史や社会学などの人文書、そのほか、知らないことを知りたいという欲求から読む。



分かち合いたい

人からのおすすめ、SNSなどで話題になっている本を読む動機。いわば、コミュニケーションのための読書。あるいは、承認欲求のための読書。



アイディアを得たい

これは私が小説を書く人間だからなのだが、ネタを求めて読む習性が10代のころからある。ノンフィクションや歴史の本などは、純粋に面白いというのもあるが、いつか小説に使えるかもという下心もあるからこそ読んでいる。さいきんでは社会学の本などは、ここに書かれていることはすべて、小説のテーマとしてのアイディアの源泉ではないかと気づいたので、やはり読む数を増やしたいと思っている。



文章がうまくなりたい

小説を書く人間だから持つ動機その2。うまい文章を書けるようになるには、うまい文章をたくさん読むほかない。とはいえ中学生の頃にはすでに、美しい文章を読むと脳が気持ちがいいという感性があったので、きれいな文章の本を読むのは私にとって喜びである。ただ文章が素晴らしい本が、必ずしも面白さも備えているとは限らないのがネックではある。



義務

謎の動機に思えるかもしれないが、「義務」としか言いようのない動機で読む本がある。主に古典、不朽の名作といったもの。「本が読める」という、人によってはギフトといえる才能を持って生まれたからには、ちゃんと読まなければならない本がこの世にはある。



これら6つの動機をベン図にしてみたものが下記である。

 

 

わたしが本を読む動機のベン図

 

ベン図というものは便利で、動機を並べてみることで自分でも気づかなかったことに気がつく。たとえば、私が「分かち合いたい」本をよく選んでしまうのは、しばしば「楽しみたい」「義務」「知りたい」の動機も満たすことができるからなのか、など。

加えて、2023年に私が読んだ本79冊を動機でカテゴライズすると、このような結果となった。

 

 

動機別 読んだ本の円グラフ

 

昇順にすると下記になる。

 

楽しみたい:26冊(33%)

分かち合いたい:19冊(24%)

知りたい:10冊(13%)

文章修養:9冊(11%)

アイディア:9冊(11%)

義務:5冊(6%)

 

この割合をどう考えるかは個人によるが、私としては「分かち合いたい」が少し高いと思った。

分かち合いたいという言葉は聞こえがよく、じっさいある人と仲良くなりたい場合、その人がおすすめしている作品を鑑賞して感想を伝えることで、ぐっと仲が縮まるといった便利な技があるけれど、この動機は「認められたい」という承認欲求から来るものであることも忘れてはならない。

 

また私は、読んだ本に独自の採点付けをしているのだが、「分かち合いたい」カテゴリの平均点数は77点で、それほど高くないことも重要である。

ほかのカテゴリの平均点数も並べると、下記のようになる。

 

楽しみたい:81点

知りたい:80点

文章修養:80点

義務:79点

アイディア:78点

分かち合いたい:77点

 

これはあくまでも2023年だけの記録を基にしているので、根拠とするには弱いことはいなめないが、それでも頭の片隅には入れておきたい数字である。

ちなみに「楽しみたい」カテゴリの平均は81点だが、最高得点の100点と、最低から二番目の50点が出たのもこのカテゴリだった。(最低の45点は「分かち合いたい」)

 

 

今後の方針

ということで、今後の選書は「分かち合いたい」を減らして「知りたい」「アイディアを得たい」という動機で読む本を増やすことにする。

「文章修養」と「義務」も、それほど進んで選んでおらず、読んでいるあいだもあまり楽しんでいる覚えはなかったわりには満足度が高いことが、こうして数字にすることでわかった。

 

上記のことを鑑みて、2024年の読書は下記の数字を目安に選書をしたいと思う。

 

 

2024年の読書の動機の円グラフ

 

楽しみたい:23冊

知りたい:11冊

アイディア:11冊

分かち合いたい:10冊

文章修養:9冊

義務:6冊

(合計:70冊)

 

 

「分かち合いたい」は10冊まで。

とはいえ年間合計70冊で設定しているので、ほかのカテゴリがちゃんと読めていれば、あとは自由に読んでいいことにする。

 

本をやみくもに読むのも楽しいけれど、選書についてじっくり考える作業をするのは初めてで、想定外の面白さがあった。

ここまで変態的に自分の読書をデータにする必要はないけれど、本狂いの皆さんは、一度自分の本を読む動機について考えてみると、選書のスキルがいっそう磨かれるかもしれません。

 

*1:読書感想ブログ「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」のブログ主様