ごんブロ

だいたい月に一度、本や映画の感想を書きます

初めての文学フリマ出店の記録

文学フリマ大阪11が終わりました…。

 

※イメージ画像 



思い出と、また次回出店することがあったときに助かるような備忘録、また制作の舞台裏のようすなど、つらつらと書いていきます。

 

 

 

 

今回出した本

 

短篇小説アンソロジーマクドナルドの小説」

規格:A5/82P

印刷所:STARBOOKS

用紙:キンマリSW_110

レイアウト:一段組/文字サイズ11.0pt

部数:55(予備4冊含む)

原価:1冊あたり568円

 

表紙はグラフィックデザインツール「canva」で作成しました。

 

作成には下記ブログが本当~~~~~~~に参考になりました。この場を借りて感謝を申し上げます。

 

shimizuakila.hatenablog.com

 

反省点

文字サイズは普通は9.0pt~9.5ptなので、11.0ptは大きすぎる。とはいえ視認性には優れていたので、10.0ptがよいかも。

一段組は入稿後にものすごく後悔したけれど、当日の会場では特にめずらしくもなかった。

 

用紙のキンマリ110(厚さ0.15mm)は上等すぎた。もうすこし薄い紙が理想。淡クリームキンマリ70(0.1mm)が良さそう。

印刷所のSTARBOOKSは、ホームページがとっても見づらくて使いにくい。

また、締切り前に入稿するとその時点からデータチェックが始まり、後戻り(仕様変更)が出来なくなるので、入稿は締切当日までしないこと。

 

 

作成スケジュール

 

印刷所に入稿する締切が8月30日。小説の執筆者に向けた締切は一ヶ月前の7月31日に設定。

小説の校正、表紙作成がそれぞれ一週間としても充分余裕があったので、作業に必要な時間は多く見積もっても2週間と考えて良さそう。

 

反省点

他人のwordを自分のwordに貼りつけると、なぜか字下げが消えたと思われる現象が3件あった。

いまだに原因が分からないけれど、自分側のレイアウトのせいだと思われる。

相手側の自動字下げ機能のせいであることが判明。

 

www.raitonoveru.jp

 

今後はこういうことが起きることを念頭に入れて作業すること。

また、話の内容が苦手な小説の校正がだめだめだった。消えてしまった字下げはもちろん、誤字まで見逃した。次からは自分が苦手だと自覚している作品の校正は別の人に頼むこと。二度と繰り返してはならない。



宣伝編

 

ところで私は少し後悔していました。

文フリ大阪11は過去最多ブースで、入場者数は恐らく少なく見積もっても3,500人(※公式発表では4,283人でした)。3,500 人も来れば売れるのではないだろうか。

ということで51部刷り、10部は執筆者10人が引き取るので残りは41部。そこに印刷所の好意(?)の予備4部が加わって、最終的には45部となりました。

 

そこで初めて知るのですが、文学フリマは『小説』は初参加では30部売れたら大成功らしいです。

それは確かにそう。私も文学フリマで買うのは主にエッセイやノンフィクションですもの。

いまや「なろう」やカクヨムといった無料の小説投稿サイトもあるなか、いったいどこの誰が、見ず知らずの人間が書いた小説にお金を出してくれるというのでしょう。

 

カクヨムやなろうでファンがいる書き手ならまだしも、ファン0人の状態から45部を売るのは、かなり難しいのでは???

 

ということで、だいぶ真剣に販促活動をすることにしました。

 

 

webカタログに登録する

 

文学フリマ公式サイトのカタログに表紙と書籍情報を登録。

宣伝文句は150文字なので、どんな本なのかを簡潔に分かりやすく説明しました。

 

Twitter(X)で宣伝する

 

webカタログが出来たらTwitter(X)でも告知します。

だいたい文学フリマ開始の3週間前から宣伝が増えてくるので、この3週間に出来るだけまめに宣伝することで、文フリ参加者に認知され、フォローし合うことでリポスト数が増えやすくなります。

 

POPを作る

 

過去に一度だけ訪れた『文学フリマ大阪9』小説のブースでは、あらすじをつらつらと書き連ねたポスターをよく見かけました。それを見るたびに「長い」もしくは「面白くなさそう」と思ったので、魅力的な文章の抜粋を並べたいと思い、発言まとめメーカーで本文抜粋POPを作成しました。

 

 

これももちろんTwitter(X)などに投稿します。

 

ポスターを作る

 

表紙を作成したcanvaをここでも利用。もちろんTwitter(X)に投稿します。

これもPOPと同じで、私自身が「簡潔」かつ「的確」なものが好きなので、なるべくシンプルにすることを心がけました。

 



あらすじとイメージ画像を作る

 

webカタログ、POP、ポスターを作りましたが、まだ弱い気がする。

そこでアンソロジーに収録されている各話のあらすじを作り、操作に慣れてきたcanvaでイメージ画像を作成してみることにしました。

 

 

x.com

 

canvaでイメージ画像を作る作業は、ただ楽しくて心癒されるひとときでしたが、あらすじを考えるのはじゃっかん負担で、半分ぐらい作ったあたりで、みんな自分で作ってもらえないかなーと、それとなく期待して執筆者全員にLINEしてみましたが、私の伝え方が悪かったらしく、全員から「お任せします」と返って来て笑ったしびっくりした。次からは絶対それぞれに作ってもらう。

 

このあらすじとイメージ画像の宣伝ポストはけっこう好評で、これを見て来て買って下さったひともいたのではないか、というくらいの手応えがありました。

 

当日までの宣伝は以上です。



当日編

 

印刷された本は文学フリマ会場ではなく、先に家に届くように手配していたため、家で荷作りしてカート(買った)で引きずって搬入しました。

とても大変だったので、次からは絶対に印刷所から会場に届くようにしたい。

 

モーニング♡

酒場喫茶ヴァンガード

 

変だったのはわざわざ京橋でモーニングとかしたせいでもある。

 

優雅にモーニングを楽しんだので、会場に着いたのは参加者入場時間の10分前ごろ。参加者も過去最多ということで会場の準備が終わらず、20分以上は待ったような。

来場者の待機列もすごいことになっていたので、予定開始時刻よりもアーリーオープン。設営作業は時間を見る暇もないくらい大変で、やっとのことで準備を終えて見本誌を出す&トイレに行ったら、来場者の入場が始まって、しばらく会場にもどれなかったくらい慌ただしかった。設営は二人いたほうがマストだと思う。

 

で、机に着いて、立ち読み用の見本の同人誌に貼る用途のふせんを書いていたら・・・

 

「一部下さい」

 

開始0分である。

 

びっくりしすぎて思わず「いいんですか?!」と立ち上がったら、「Twitterで見て絶対欲しいと思ってたんです」と言われて、震えるほどに感激した。文フリはすごいぞ。

 

その後も知り合いや普通に執筆者のみんな、果ては友達といった身内から、全然知らない見ず知らずの人たちまでが来てくれてお買い上げ下さって、なんと16時前にして45部すべて完売。

よく売れるサークルは15時あたりで撤収しているけれど、お客さんは16時ぐらいでも結構入っていたし、撤収作業中にも2~3人から「欲しかったです…」と言ってもらえたので、50部はもちろんのこと、60部刷ってもなんとかなっていたかもしれない?!



当日やってよかったこと

 

見本誌を出す

 

 

完売を目指しているとすれば、やらない理由がないくらいやるべきな便利なシステム、見本誌コーナー。

出店者が任意で提出した見本の同人誌が一堂に会した様子は壮観で、私もここで物色して良さそうだと思ったものを買いましたし、実際に買って下さった人で「見本誌の中で目立っていたから気になって」と言ってくれる人もいました。



POPとポスターを店頭に出す

 

 

Twitterで告知したPOPとポスターを紙に出力して店頭に出す。

ポスタースタンドにお金を出したくなかったので、100均のミニイーゼルと、A3が貼れるサイズにカットした段ボールを持って行き、現地で両面テープで貼りつけました。DIY精神。

わりと立ち止まって読んでくれる人がいたので、図画工作した甲斐あったな~と思いました。



嬉しかったこと

 

今後つらいことがあったとき、これを読み返して気持ちを浮上させるために書き残します。

 

  • 開始0分で買ってくれたK野さん、走馬燈に出演してほしいくらい女神だった。私もああいう人になりたい。
  • 買う際にちょっとでも何か言ってもらえるとすっごく嬉しい。自分でも心がけたい。
  • コンセプトがいいと褒められた。嬉しい。
  • 表紙が可愛いと褒めてもらった。嬉しい。
  • ジャケ買いですと言ってもらった。嬉しすぎるやろ。
  • 見本誌の中で目立っていたと言って貰えた。嬉しかった。
  • 差し入れを頂いた。有り難かったし助かった。
  • 「タイトル変えましょう」と提案して私が考えた他の人のタイトルを褒めてもらえた。
  • 執筆仲間にあらすじを作るのが上手いと褒められた。



次回やるならやりたいこと

 

立ち読み用の見本誌に、各話のテイスト「ほのぼの」「激苦」「コメディ」など書いたふせんを貼ったのはよかったけれど、さらに目次の部分にも情報を書きこんでみたらもっとよかったかも。立ち読みしてくれる人は必ず目次に目を通してくれるので。

見本誌コーナー用の見本誌にも工夫できたらしたほうがきっとよい。



雑感および備忘録

 

魅力的な書き出し

シナリオスクールでさんっざん、再三言われてきたけれど、あまり重要視していなかった「最初の一文で読者の心をつかめるように、書き出しは魅力的に」を、初めて肌で実感した。

数百冊ある見本誌が揃う見本誌コーナーでは、最初の一~二文しか読まないし、そこで本を閉じてしまう。

あとやっぱり、飛びぬけて目立つ真っ赤でシンプルな表紙にして良かった。まぁ好き好きなので、ひと目で嫌った人もいるだろうけれど。

 

フリーペーパー

フリーペーパーは自分からは配らないほうがいい気がする。

これは一部の人間の心理だと思うけれど、フリペをもらうと「収穫物があるし、作品は買わなくてもいっか!」と満足してしまう。動物並みの知能だとそうなる。わたしのことです。

買った人や、自ら欲しがった人に渡すといいと思う。

 

話しかけない

私自身が本を物色しているときは話しかけないでほしい人間なので、呼びこみや、立ち読みしてくれている人に話しかけることはしませんでした。

文章を読むにはそれなりに集中力が必要なのに、話しかけられると集中力が途切れて文章が読めなくなるから、話しかけたり、注目しないほうが買ってくれやすいと思う。これはもちろん事前準備や宣伝をやりきっているからこそではあるけれど。

 

価格

やっぱり500円までが圧倒的に購買意欲が湧く。今回は600円で完売出来たけれど、次に作るなら二段組にしてでも500円までに抑えたい。

 

お釣り

お釣りとして、かなりの苦労をして100円玉を90枚くらい用意したけれど、ほとんどの人が600円ちょうどをくれたので、ぜんぜん使わなかった。お釣りは5,000円分くらいでいいという情報は正しかった。



まとめ

 

いろいろと考えることが多くて大変だったけれど、推敲不足を除けば大成功と言っていい成果でした。成功の要因は、一も二も無く準備の徹底にあったと思います。準備を制すものは文フリを制す。

また私は、自分は文章を書くのが得意だと思っていたけれど、じつは小説を書くことよりも、企画したり、編集したり、グラフィックデザインツールで画像を作成したりすることのほうに適性があるのでは? と思うくらい、それらの作業が苦でなかった。

小説は悶え苦しみながら書いていたことを思うと、私の才能は小説ではなく、編集者のほうにあるのかも。もはや文フリで目をつけた書き手を集めたアンソロジーとか作ってみたい。

 

それはともかく、本を作ること、本を売ることが体験できる文学フリマ、ものすっごく楽しかったです。

また何か本を作ってみたい。

(ことしは小説も頑張って書きます!)(あと三ヶ月しかないのまじ?)