ごんブロ

だいたい月に一度、本や映画の感想を書きます

2023年6月の振り返りと読書記録

6月の振り返りです。もうことしの半分が終わったのか~と思うと、感慨深いような焦るような。意外とこの「振り返り」が今回で8ヶ月も続いていて、そのためかことしは例年よりも日々を噛みしめて生きているような実感があります。もぐもぐ。

きのう7月1日から、TwiterではAPI制限によって閲覧が出来なくなったりしたようですが、わたしの場合はまったくつぶやけなくなっており、これが今後も続くようなら、ブログの比重が高まるのかもしれません。先のことは分からないけれど。

さておき、いつもの先月の振り返りです。

 

 

1week

友だちとなんばでランチ。以前彼女に連れて行ってもらったインドカレー屋さん『フルバリ』に行く。

 

スーパーBIGナン

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この巨大ナンの美味しさが忘れられず再訪。カレーももちろん美味しい。

友だちは美人でおしゃれな年上の女性なんだけれど、彼女から「私の知り合いのなかで、あなたがいちばんおしゃれな人だと思う」と褒められ、有頂天になる。

 

6月に突入。

野田阪神の焼き菓子とワインのお店『マノアマノ』へ行く。

 

 

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こんな触感ははじめて食べるというような、ものすごく美味しいカヌレに喜界島の焼酎をソーダ割にしたものを合わせる。これぞマリアージュ。(?)

カヌレがむちゃくちゃ美味しかったので、なにかお土産に持って行くような機会がほしい。

 

6月2日は東海新幹線が止まるほどの雨で、会社からも電車が動いているうちにさっさと帰ってや~というお達しが出たため昼過ぎに帰る。

多少電車が動かなかったりしたので、いつもと違う路線を使って帰宅してみたところ、いま自分が使っているレインブーツが長距離を歩くのに適していないことを痛感する。

もともとスニーカーと比べて履き心地が悪いことは分かっていたけれど、この日はたった4㎞しか歩いていないのに、スニーカーで10㎞歩いたとき以上に足腰が疲れてしまった。こんなものを履いていた日に、もし交通機関が完全にストップしていたら…と考えるとゾッとした。

今後電車が止まるようなものすごい大雨のときに出社する場合は、登山靴を履いて行くことを決意。登山はやっぱり色々とつぶしがきく。



2week

日曜日と月曜日に琵琶湖一周ひとりドライブ旅行を敢行。

 

gonzarezmm.hatenablog.com

 

楽しかった!!!

水曜日も仕事はお休みで、朝はヨガ教室へ行ってドライブで固まった筋肉をほぐし(首がおかしかった)、お昼は焼肉屋さんでランチの冷麺セットを食べる。

 

これくらいがちょうどええねん

昼から肉を食べてテンションが上がり、このまま大阪歴史博物館へ行くことを思い立ち、開催中の展示『異界彷徨』を見る。

 

 



梅田墓出土遺物

いまも開発中のうめきたから大量の人骨とともに出土された遺物。

シルバニアファミリーのグッズくらいの寸尺の、陶器で出来たどうぶつ、可愛らしいミニチュア急須やとっくりやお椀を見ていると、300年以上も昔にこれらを死者と一緒に埋めたひとのいたわりや愛情が伝わってきて、ウッッと涙ぐみました。

博物館は展示物を守るために湿度も温度も低く設定されているため、展示を見終えたあとは、冷えきった体を温めるために大阪城公園を散歩して日光浴をする。

その後、天満橋の『ボニーズベイクショップ』でお茶。

 

キャロットケーキ🥕

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なんだか完璧な休日を送っていてびっくりした。

ちなみにこの日に使ったお金はちょうど5,000円くらい。完璧な休日を送るために必要な金額は5,000円か~と、みょうに腑に落ちる。



3week

水曜日のお休み、10時半ギリギリのすべりこみ朝マックをする。

ちなみに大阪人はマクドナルドのことは「マクド」と言うが、朝マックは「朝マクド」とは言わず「朝マック」と言う。(豆知識)

 

 

マックグリドルソーセージ、大好きっ!

パンケーキにはもうちょっとシロップ多めに染みこませたほうが美味しいと思うんだけれど、注文時にお願いすればやってもらえたりするんだろうか。

 

朝マック後、ひらかたパークで開催の『めっちゃ昆虫展』へ行く。

 

 

 

さなぎトリオ

開催終了間際、かつ平日ということでか、親子連れ3組としかすれ違わないくらい過疎っていた。

でかい昆虫模型、スピードカメラで撮影した昆虫の貴重な動画、昆虫の目線の写真、ものすごい数の昆虫標本など、とても見応えがあって面白かった。

 

 

 

昆虫の生態は、地球上のさまざまな環境に対応した驚異的な機能、生きかたがあって本当に面白く、興味がつきない。

なぜ、きみたちはこんなにもわたしたちと違うの(面白いの)か。

昆虫を見るとき、いつもそんな思いを抱きながら見ている。

 

4week

大阪市生野区小路駅すぐの焼肉屋『松蘭』を再訪。

 

レディースセット&ハーフ冷麺

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ここの焼肉屋さんはキムチや卵スープや冷麺などのちょっとしたものまでもが、すごく行き届いた美味しさなのに良心的な価格で最高だと思う。

 

シェアリングカーの月額料金の元をとるべく、デカい池公園に行く。

 

 

あじさいが見頃かと思いきや、晴天続きだったせいか、それともことしの花の開花時期がだいたい早かったせいか、もうほとんど終わりごろだった。

 

 

金曜日はナガラビットカフェでマダミス会。

 

6月限定スイーツ🍦

『ホワイト・レイヴン、レッド・ダイ』のゲームマスター(司会進行)をする。GMをするのは初めて。

ホワイトレイヴンはすでにプレイ済みなんだけれど、GMとしてマダミスをプレイすると、シナリオやプレイヤーを俯瞰して楽しむことが出来て、プレイヤーとして参加するのとはまた違った面白味があり、一粒で二度美味しいことがわかりとても良かった。

あといままで得意だと思ったことがなかったけれど、この3年ほどはほぼ毎日読書しているせいか、私は長い文章をつっかえることなく音読するのがわりと上手いことに気がついた。

 

一日置いて、日曜日もナガラビットカフェでマダミス会。

ずっとやりたかったグループSNEの『マーダーミステリー・オブ・ザ・デッド』を凪沙役でプレイ。

 

ゾンビもの🧟‍♂

これめちゃくちゃ面白かった~~~!!!

3月からマダミスをやり始めてちょうど丸3ヶ月、そろそろたまに「これはいまいちだったな」と思うマダミスも出てくるなか、久しぶりに大興奮で楽しめたマダミス。

犯人捜しと別建てのミッションが同時進行で錯綜し、誰が仲間で誰が敵なのか手探りのまま目的に向かっていく感覚が本当に面白かった!

マダミス中のマダミスだと思う。傑作!



5week

水曜日にヨガ。2週間に一回行くくらいがちょうど良いペースなのかも。

前週の日曜日はことしの夏服も山盛り買っていたので、衣類整理をして収める。私は自他ともに認めるお洋服大好きおしゃれ人間だけれども、買ったら捨てるをわりと徹底しているので、クローゼットは案外すっきりしていることで母にも驚かれる。これは洋服と片づけの両方が好きゆえに実現可能な稀有な現象。

それでも衣替え(と断捨離と片づけ)って、普通に日常の仕事ぐらいの頭脳労働かつ肉体労働であることにこの日ふと気がついた。選択と判断と決断がとても多い。

 

木曜日はナガラビットカフェのボドゲ会。

 

 

読んでいる人にはまたそのカフェかと思われそうだけれど、ナガラビカフェには4月からだいたい週に1回は何かしに行っており、仲の良い会社の先輩もこの日ですでに4~5回目の来店というくらい、周りの人間も連れて行っている通いっぷりだったりする。

この日はたまにはマダミス以外のボドゲもしたいよね~というゆるいボドゲ会で、メンバーはマダミスメンツが半分、ボードゲームじたいが初めての人など、先輩もふくめてわりと多彩なメンバーで『レジスタンス:アヴァロン』『コヨーテ』『ito』をする。

 

これはアヴァロン

メンバーがとても良かったのか、初めまして同士も多かったのに『ito』ではおなかが痛くなるくらい笑った。あ~~面白かった。またやりたい。

 

読んだ本

小川洋子アンネ・フランクの記憶』

京都のセレクト本屋さん『レティシア書房』で購入した古本。96年出版。

アンネ・フランクが日記を書き始めたのとおなじ年ごろに『アンネの日記』を初めて読み、多大な影響を受けたという作家の小川洋子さんが、30代の時分にアンネの足跡をたどり、隠れ家や生家、収容所をめぐった旅の記録。

アンネ・フランクについては、小学生のころに伝記まんがを読んだ程度で分かった気になってスルーしていたのですが、そもそも『アンネの日記』自体が、のちの大作家小川洋子氏を虜にしてしまうくらい優れた日記文学であることを、この齢になるまで知りませんでした。

アンネの周りにいた大人とそう変わらない年齢の大人になってようやく、当時のひとびとのこと、戦争がいかに異常なものなのか、そこに人生が巻きとられていく恐怖、苦しみが身近なものとして考えられるようになりました。

13歳から15歳まで、生命の危機と隣り合わせの鬱屈した潜伏生活を送りながら、その生活のなかですこしでも「良きもの」を見つけ、拾いあげて書きつづけることで、現実や人生と向き合ってきた少女の姿、その精神の気高さを思うと、涙が出そうになるとともに圧倒される。書くことがどれほど心を支えるのかということにも。

オランダの隠れ家でともに暮らしていた八人のなかで、ただひとり生き延びたオットーが、後年隠れ家を訪れ、床の隙間に落ちていたエンドウ豆を拾い、持ち帰ったエピソードに涙が出た。

オットーが収容所から救出されたときはまだ、アンネもマルゴーたちもべつの収容所では生きていて、救出が間に合わず死んだという事実も胸が痛かった。本当にあとすこしで失われていった命がどれほどあったのか。



幸田文『流れる』

成瀬巳喜男が映画化したということだけは知っていた、古い古い作品。

幸田文がじっさいに住込み女中として働いていた芸者置屋をモデルに「くろうと」の世界の内実を描いた作品というあらすじもなんとなくは知っていて、てっきり女の苦界を描いた、辛気くさい、女が可哀想な話なのかと思っていたのですが、ぜんぜんちがっていて驚きました。

もう、出てくる女たちがとにかく面白い。

明治に文豪の父親のもとに生まれて普通に育った幸田文が、40代で芸者置屋に働きに出て、そこでこんなにも面白い女たちがいきいきと(ときにじめじめと)生活しているのを見たときに、どれほどのカルチャーショックを受けたのか、ということが伝わってくる。

本書は2月に訪れた鹿児島市の『向田邦子文学館』で、向田邦子の本棚を再現した場所に並んでいたことで興味を惹かれて読んだのですが、確かにところどころに「あ、ここ、めっちゃ向田邦子っぽい!」というような、影響の源流を感じさせてもらえました。

文章のかっこよさもだけれど、この、男がいない空間で、好き勝手に女がわちゃわちゃしている描写が、向田さんは好きだったんだろうな~とも思う。



岩井圭也『完全なる白銀』

岩井圭也は2020年刊行の『分身』がむちゃくちゃ面白かったので、それから注目しているのですが、その次に読んだ『水よ踊れ』がわりといまいちで(とくに女性の描き方が)、その後は読んでいませんでした。

しかしことし2月に刊行された本書『完全なる白銀』は、女性3人が主人公で、しかも冬のデナリ山脈登頂の物語だというので、これは面白そうだと思って読んだところ、確かに文章はとても読みやすいんだけれど、著者のこだわりや思い入れを感じない、雑で拙速な小説で残念でした。

岩井圭也さんは刊行ペースがかなり速いので、こういうペースで書くのなら、キャラクターが立っているシリーズものを書いたほうがいい気がする。



須藤古都離『ゴリラ裁判の日』

今月のベスト。

10年に一人レベルの才能がメフィスト賞から爆誕!!!🦍

ニシローランドゴリラのローズは、人間に匹敵する知能を持ち、手話を介して人間と意思疎通が出来る。手話を「ことば」に変換できる発話デバイスが開発され、ついに言葉も得た彼女の未来は、輝かしいものとなるはずだった。同じ動物園で暮らす夫のゴリラが、人間の誤った判断により射殺されてしまうまでは。

ローズは動物園を裁判で訴えるが、人間が支配する司法はローズの訴えを退ける。絶望に叩き落されたローズがとる次の手段は…?!

という、冒頭の時点で尋常じゃないくらい面白いうえ、その後も終わりまでずっとこの面白さを保ちつづける、とんでもない小説でした。

リーガルドラマとしてもめちゃくちゃ面白く、動物文学としても最高、全体的としては生命賛歌という、どこを切り取っても素晴らしい物語。ラストがまた良すぎる。次作も絶対に読む。



梅棹忠夫『知的生産の技術』

国立民族学博物館をつくった「知の巨人」の異名を取る文化人類学者、梅棹忠夫が一般向けに書いた、仕事活用メモ術。

先月上野千鶴子の本を読んでいてはじめて「梅棹忠夫」なる人物を知り、彼の人がどれほど常人離れした明晰な頭脳の持ち主だったのかがわかり、興味を惹かれて手に取りました。

さすがに50年以上前に書かれたものだけあって、大部分がローテクなものの、メモにかんするビジネス書がいまでも多くあることを思うと、根本的な部分はいまでも十分通用すると思われますし、じっさいシナリオスクールに通っていたときにとっていたノートをメモカードにしていれば、どれほど活用できただろうとも思います。

また先月あたりから毎日書き始めた日記について、若干行きづまりを感じていたので「日記の書きかた」はとても参考になりました。日記もメモカードにするのは面白そうだとは思う。あと、博物館なんかに行ったときもリアルタイムでメモをとるようになったので、やっぱり読んでよかったと思う。



キム・ボヨン『どれほど似ているか』

懲りずにSFに挑戦。すっごく読みやすくて面白いSF小説集だった!

昨今のSF界で「もっともSFらしいSFを書く」と言われている注目の作家なのに、SF音痴でも読みやすいということは、著者は天才ということなのでは?

タイトルだけで心をゆさぶられ、読むきっかけとなった表題作『どれほど似ているか』はもちろん、まったく新しいタイプの超人を描く『世界でいちばん速い人』も良ければ、『静かな時代』もすごく良かった。

韓国文学はまだ3作家ほどしか読んでいないけれど、どれもほかの海外翻訳小説と比べて、言語が日本語に近いんだろうなとなんとなく感じさせる空気がある。翻訳なんだけれど、いちばん翻訳っぽくない感じというか。



キム・リゲット『グレイス・イヤー』

ガーナ―郡では、少女には魔力があると信じられている。男が誘惑され、妻たちを嫉妬させるのはすべてその魔力の仕業である。魔力を浄化させるため、十六歳となった少女たちは街を追放され、一年間を森の中のキャンプ地で過ごす「グレイス・イヤー」の洗礼を受けなければならない。ダークで不気味で物騒なディストピアフェミニズム小説。

これは面白そうだな!とかなり期待して読み始めたのですが、情景描写が欠乏している&むちゃくちゃ下手くそなせいで、致命的なくらい何が起きているのかよく分からない小説でした。

また、一年間を十六歳の少女たちだけで過ごすということから、てっきり少女たちの団結や絆や和解といったものが読めるのかと期待していたのですが、そこはべつに主題じゃなかったのもかなり残念だった。

映像化に向けて動いているようだから、ネッフリとかでブラッシュアップしたものが見られるといいな~。つまりだいぶ期待外れだった。本当に残念。



以上、6月の振り返りでした。

7月からはいよいよ文学フリマ大阪に向けて動き出して行きます! がんばろ~!