ごんブロ

だいたい月に一度、本や映画の感想を書きます

【後日談あり】女友達(29歳)が1年弱付き合った彼氏と別れた理由が味わい深かった

先日友達のMちゃんが彼氏とお別れしたのですが、その理由に大変趣きを感じ、かつ学びが深かったので書き留めたく、2ヶ月ぶりのブログ更新です。



友達が彼氏と別れた話

 

 

前置き

 

登場人物

Mちゃん…29歳女性。おしとやか可愛い。育ちが良い。

彼氏さん…33歳男性。ルックス良し。収入申し分無し。

 

 

Mちゃんと彼氏さんが出会ったのは今から一年半前、社会人アウトドアサークルの場でした。お互い初対面時から印象が良く、半年ほどでお付き合い開始。

順調にデートを重ねて交際歴が半年になる頃、「彼に何か不満はある?」と聞いた時の答えがこちら。

 

「不満というか、もう改善されたんだけど、今まで付き合った男の人の中でいちばんお金を払わない。一緒にご飯を食べに行って、彼の方が多く飲むのに割り勘だったりするから、そこは多めに出してほしい、と伝えた」

 

「あと、飲食店なんかで些細なことで腹を立てて不機嫌になられることがストレス。これはこの間話し合った時に伝えて謝ってもらったけれど、改善されない」

 

2つ目の『すぐに不機嫌になる男』については、桃山商事さんの記事にあるくらい普遍的な男あるある問題ですが、どちらにしても付き合う前には全く見せなかった部分だったようで。

 

(桃山商事さんの記事はこちら。名記事です)

president.jp

 

もう一回話し合わないと駄目やろねぇと締めくくったその半年後、つまり先日に事件が起き、Mちゃんはとうとう別れを決意。私を呼び出し、ことの顛末を語ってくれたのでした。

 

 

何が彼女に起ったか?

 

その夜、Mちゃんと彼氏さんは、Mちゃんの住む街にある、Mちゃんお気に入りのお店に食事に行きました。こはちょっとお高めの、白木のカウンターテーブルで美味しい和食と日本酒を楽しむような、大変雰囲気のいいお店なのですが、その日は特別忙しく、注文した品の提供が遅かったり、その上注文が通っていないなどのミスが三度も起きたのだそう。

 

そこで彼氏さんはいつもの不機嫌を発動。隣にいたMちゃんはせっかくの美味しいお料理の味が感じられなくなるほどで、常ならば彼女はこういう時、彼氏さんに対し「も〜、怒ったらあかんよ〜(なでなで)」などしてデートの空気の維持に努めるのですが、その日はそんな気分になれず、むしろ「何故、いつもいつも私がこいつの機嫌を取らなければならないのか?」と嫌になって放置。

彼氏さんの機嫌はどんどん悪くなっていき、お会計の段になってとうとう、彼は女性店員さんに対して怒りをぶちまけます。

 

その怒り方はかなり厳しく、店中の人間が気付くほどのものだったそう。隣にいたMちゃんはその時の心境を、「まるであおり運転の助手席にいるような気分だった」と後述します。

もうデートどころではありません。お店を出ると、彼氏さんは怒りの勢いのまま早足で歩き出したためにMちゃんはその場に置いて行かれ、情けなさや好きなお店への申し訳なさ、デートを楽しもうとしていた気持ちを恋人にぶち壊された悲しさから泣き出してしまいます。(しかも勘定は割り勘)

立ち止まっているMちゃんのところに引き返してきた彼氏さんは、Mちゃんが泣いていることに気づき、「なんで泣いてるん」と訊くも、Mちゃんは「一人になりたい。今夜はもう私の家に来ないでほしい」と拒絶。その場で解散となりました。

しばらくして一人で気持ちを落ち着かせていたMちゃんのもとに、彼氏さんからLINEが入ります。

 

【飲み直さないの?】

 

それを見てMちゃんは「はぁ?」と思いましたが、冷静に返信します。【怒っている人と一緒に飲みたくありません。】

 

それに対し、彼氏さんも返信します。

 

【あれは怒るやろ】

 

【(以下、何故俺が怒ったのか、如何にその怒りに正当性があるかという説明がえんえん続く)】

 

 

バトルの始まりです。

 

 

問題の本質は何か

 

新しいラウンドdレンダリングイラストを待っている空のボクシングアリーナ | プレミアム写真

※イメージ図

 

その後二人は何時間もかけてLINEで応酬を繰り広げるのですが、いやー、面白かったです。(LINE見せてもらった)

 

とにかく自分の怒りの理由を説明し、自分の行動に正当性を持たせようとお店を糾弾する彼氏さんと、それに対して「あなたが怒っている時、私の気持ちはいつも無視されてつらい」「注文ミスは確かにお店が悪いけれど、お店にも事情というものがあって、なぜそれを思いやれないのか」というMちゃんの話は当然噛み合わず、やがて争点はこんがらがった末にお店のことに。

 

そこで彼氏さんが主張した言葉には、私の頭にまるで無いクレーマーの視点が凝縮されていて大変興味深かったです。

 

【店側にどんな事情があっても、客には関係ない。1万円を払ったら1万円のサービスを受けてしかるべき】

 

いやもう、びっくりしました。

私はアルバイトはほぼ飲食店で、外食好きでよく一人でも飲みに行くような人間なので、こういった発想はもはや斬新に感じたのです。

LINEを読みながら思わず、「お前外食向いてねぇ〜〜〜〜!!!!」と突っ込みを入れながらも、同時に深く理解しました。

 

ああ、この人はケチなんだ、と。

 

絶対に払ったものに対して同じだけの対価が欲しい。絶対に損をしたくない。そういう人なんだなと。

 

それに加えて、怒りの発露という幼稚な行動。彼氏さんは自分が怒ったことは仕方がない(俺は悪くない)、という論調だったわけですが、そもそもそれが誤りで、大人が怒りの感情をコントロール(アンガーマネジメント)出来ないなんて恥ずべき事です。

不快な思いを人に伝える際に、怒りを乗せる必要など無いにも関わらず、よりにもよってデートの場で第三者に怒りを表すなんて、大人として論外の振舞い。Mちゃんでなくてもドン引きは必至です。

 

最終的に、それでも【俺があそこで怒ることはお店の成長にも繋がる】という謎目線をかます彼氏さんに対し、Mちゃんは【お店のことなんかどうでもええわ】と切り捨て、【とにかく今夜はあなたのせいで楽しくありませんでした】と結び、別れを決意したとのこと。

そしてもう首尾よくお別れできたので、彼氏さんは無事元カレさんになったみたいです。

 

一緒にお酒を飲みながらMちゃんは、「私は人にはなるべく親切にしたいし、困っている人がいれば助けたい。私にとってそれは当然だけど、彼は真逆の考え方で生きている。その価値観の違いに絶望した」と言っており、二人は付き合って2年目に入る再来月には結婚に向けて動き出そうとするタイミングだったのですが、結婚はしたいけれど彼と結婚するくらいなら独身でいたほうがまし、と思ったそうな。

29歳という、一般的に焦りがちなタイミングで、冷静にこのジャッジを下せたのは、ひどく思慮深くかつ勇気ある英断であったと思います。

 

他にも酔いが回って出てきた『彼のことを嫌だと思ったエピソード』に、一緒に街バルに行く→そのバルでは受付でお金と引き換えに3枚綴りのチケットをもらい、協賛店舗での飲食費として1枚ずつ使うシステム→店員さんが事前に回収するはずのチケットを回収し忘れる→彼氏さんが「これで4軒目行けるやん」と言う→Mちゃん「なに言ってんのー、ちゃんと渡さなあかんよー」といなす→Mちゃん、お店を出る時に「回収されてませんよ」と店員さんにチケットを渡す→彼氏さん、お店を出てから「渡さなければよかったのに」と文句を言う…という話があって、そのあまりのみみっちさに、思わず私は「卑しい!!!!」と叫び、

 

「それはもう本当にあかん、卑しい。育ちが悪すぎる。私はMちゃんに、卑しい男と一緒になってほしくない。お父さんもお母さんもおばあちゃんも、Mちゃんが卑しい男と一緒になったら悲しむよ」

 

と手を握ってしまいました。

 

私もこれまでの人生で関わってきた人間の中で、特別にケチだなと思った男女が二人いて、どちらとももう付き合いは切れているのですが、ケチというのはお金を出し惜しむだけじゃなく、心がケチなんだなぁと、深く感心すると共に、やっぱり『吝嗇(けち)』というのは本当に欠点なのだな、ケチな人間とは仲良くなってはいけないなと思わされました。

 

これだけ『ケチ』が気になるのはやはり、私という人間にも少なからぬケチな性質があるがゆえの同族嫌悪でもあり、戒めの思いもこめて、これを結びの言葉とさせて頂きます。



ケチな奴はあかん。

 

 

ケチはさておき…

記事中で引用した桃山商事さんの記事も収録されている本がこちら。

 

生き抜くための恋愛相談

生き抜くための恋愛相談

 

 

また、アンガーマネジメントが出来ず、長年パートナーを苦しめていたアラフィフ男性が、パートナーとの別れを目前にして、本気で自分を変えたという非常に興味深いお話がこちらになりますので、よろしければ。

 

 

www.gentosha.jp

 

おしまい

 

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後日談

 

・・・という内容のブログを書いて、2年が経ちました。

おかげさまでこちらの記事は、当ブログにおいて今でもよく読まれる人気記事となっています。

あれから2年の月日が過ぎ、Mちゃんの身の周りにも変化があったので、彼女のその後について追記します。

 

2019年の11月に当時の彼氏さんとお別れしたMちゃんは、一ヶ月間ほど心穏やかに過ごして心身を回復させたのち、年が明けて2020年になるとともにマッチングアプリ3つに登録。その後未曽有の新型コロナ騒動が日本中を席巻するなか、感染防止対策を取りつつアプリで知り合った男性たちと粛々とデートを重ね、夏にはそのうちの一人である同年代の男性とお付き合いをスタート。

コロナ禍が続くあいだも二人は順調に仲を深め、交際1年を迎えた2021年の8月、Mちゃんはプロポーズを受け、晴れて11月22日(いい夫婦の日)に入籍なされました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めでたい!!!!!

 

 

 

buddhavector1

 

 

困難の中にあってもくじけず、己の心の声と人生に誠実に向き合い、幸福を追求し続けるMちゃんに、心からの賛辞と、全身全霊の祝福を捧げます。彼女のゆく道が、これから先、いつも明るく、あたたかなもので満ちていますように。