ごんブロ

だいたい月に一度、本や映画の感想を書きます

久しぶりの日記とバー日誌(3月19日~28日)

去年の日記を読み返してみると、やっぱり自分にとっては面白かったので、また不定期に日記をつけてみます。

 

3月19日(金)晴れのちくもり

近ごろずっと副社長の『落としこみ』と呼んでいる業務に関する作業をしており、今日はついに課員・課長むけの『落としこみ』動画の作成(つまり収録)を行った。台本原稿をつくり、パワポをつくり、先輩と上司、総務のKさんと私(と副社長)でもろもろの準備をして挑んだ収録。だんだんみんな熱が入り、先輩がまじのテレビマン風「3・2・1(キューーー)」までやるようになり、ちょっとしたテレビ収録現場感を味わって、こんなおそまつな現場でもそれなりの緊張感や連帯感と達成感があるのだから、放送業界というのは脳内麻薬ガンギマリの面白さがあるんだろうなぁ、さもあらんと思ったしだい。

◎バー日誌

私のつごうで先週は休んだので二週間ぶりの出勤、かと思えば、今週はマスターが白内障の手術で一週間ほど店を閉めていたらしい。聞いていたのに完全に失念しており、やろうと思っていたお見舞金の準備も出来ず。

二週間ぶりなので絶対に足腰がきついことを覚悟していたが、それ以上に客入りが多くて大惑乱。お酒をつくるのも会話も下手な夜だったが、マスターも似たようなものだったので「いい働きだったよ」と褒めてもらう。あの人はそういう気配りがうまい。

今日来たお客さん

Yくん、FM先生、JOY、Mちゃん、ノブさん、G2、やすくん、けんさん、おかやん、すみちゃん(初)、ゆうきさん(初)とその連れ、ボックス席六人、マスターのパパ友(?)、ゆーや、さえちゃんとその友達二人。

さえちゃんは半年前からバーで働いているそうだけれど、今夜初めて見る。ヘアメイクの仕事をしているそうで、どちゃくそ可愛い。友達二人も美女で完全にうちの店から浮いている。

やすくんは四月から官僚となって山梨県。将来有望な若者とはこういう子のことなんだな。送別会続きの毎日を送っており、本人曰く「出来上がっている」状態での来店だったが、それでもとんでもなく優れた記憶力を見せてくれたりと、やはり官僚にまでなる人の頭とはすごいものだと感じさせられた。

 

3月24日(水)晴れ

軟骨ピアスをあけに、きのう予約した梅田の美容外科クリニックに行く。軟骨に穴をあけるのは初めての経験なので緊張した。もろもろの説明を聞き、同意書に署名し、お金を払って(1万1千円)、耳の穴をあける部分の指示をして診察台に横たわる。麻酔をするさいに『チクッ』としてから、穴があく瞬間をどきどきしながら待っていたら三十秒もしないうちに「終わりましたよー」と言われ、いつあいたのかほとんど捉えられないほどにあっけなく、軟骨ピアスがはまっていた。きらきらしていて可愛い。

うきうきした気持ちのまま、中崎町に向かう。中崎町に行くのも初めてのこと。新御堂筋を渡って、JR京都線の高架下をくぐったら、もう梅田とは雰囲気がちがっていて、中崎町に来たことを知る。私はいまツイッターであこがれている三十七歳の女性がいて、ふだん東京に住んでいるその人が、数年前に大阪に遊びに来た時に訪れてよかったと言っていた古着屋さんに行くのが今回の目的だった。

そのお店はふつうのマンションのようなビルのような建物の三階にあって、路面に看板があっても見落としてしまうくらい服屋らしさがなく、めちゃくちゃ入りづらかったのだけれど、いざ入ると店員さんはめちゃくちゃ気さくなうえ親切で、心のこもった素晴らしい接客をうける。刺繍の入ったシャツを探している、と希望を言うと、私に合いそうな服(主張のはっきりとした柄ものが多かった)をみつくろって持って来てくれ、懇切丁寧に「あなたにはこれが似合うと思った」と説明をしてくれたのがよかった。ケンゾーのぺプラム型のうす紫色のシルクのシャツ(一万円)を買う。

お店を出たあと、お昼ごはんを食べに路地裏の定食屋に行く。ものすごく分かりにくい、せまい路地を突き進んだ先にある三階建てのちいさなお店なのに、とても人気なお店で二十分ほど並ぶ。えび天の定食を食べる。評判どおりの美味しさ。

そのあとは書店や雑貨店をめぐるつもりだったが、なぜかのきなみ定休日か改装中(?)で縁がなく、せっかくなので天六方面まで歩く。以前先輩が美味しいと言っていた、台湾人がやっている豆花店まで行き、お腹が空いていないにも関わらず気合で大盛りの豆花を食べる。完食を危ぶんだが、あっさりしているので平気で食べれてしまった。

家に帰ってスマホで万歩計を見ると、久しぶりに一万歩になっていた。たくさん歩いた一日だった。 

 

3月28日(日)雨

今週の睡眠不足と、きのうのバイト先での嫌な客のせいか、十一時間ぶっ続けで眠り、宅配便のドアチャイムで目覚めた時には十三時ちかくだった。届いたのは料理研究家の山本ゆりさんの三冊目のエッセイ『おしゃべりな人見知り』。読むのが楽しみ。

一日雨の予報なので犬の散歩が無いため、十六時半から『インビテーション(ださすぎる邦題:不吉な招待状)』という映画を観る。二〇一五年のスリラー映画だったけれど、内容が二〇〇〇年並みというか、つまらなくはないけれどあともうひと味ほしいというような映画だった。

◎きのうのバー日誌

先週が送別会帰りのお客さんで忙しかったので警戒していたけれど、客入りはすくなめ。

ノブさん(三杯飲んで帰る)、Yくん、まいちゃんの元ストーカーさん(いつの間にか帰った)、マリさん(すぐ帰った)、TODOさん、ムッくん、あとは先週も来ていたキタさんとそのお友達二人で、ファミマのたこ焼きをチンして食べたりしながらゆるっと過ごしていたら、だいぶ飲んできたと思われるいちげんのおじいさんが来店。一人でボックス席に座り、でかい声でしゃべるしゃべる。はじめはキタさんたち三人がすこしだけ話の相手をしたりしていたけれど、嫌になってきたこともあってか退店。目に余ったマスターが「あまりほかのお客さんに話しかけないでくださいね」と言うと「俺は楽しんだらあかんのんか!」と言い返すジジイ。マスターはあくまで穏やかに「それはほかのお客さんも一緒なんでねー。さっきのお客さんたちもあんまり話しかけられるから帰っちゃったでしょ?」と言い、ふつうはそのへんで帰りそうなものなのに、ジジイは帰らない。「焼酎ないんか!」「ありません」「食いもんないんか!」「ありません(※本当はある)」「メニューにソーセージってあるけどないんか!」「いやもうぜんぶ出ちゃったんですよ!」と、ここまで言われても意地になっているのか帰らない。なぜかカンパリをロックでえんえん飲み続け、どうでもいいことでマスターに話しかけて自分の相手をさせ続けるので、マスターも目に見えてイライラしはじめる。このあたりで姫子さんという女性のお客さんが来店。「今日はつきだしないのん?」と訊かれるが、マスターがジジイに無いと言っている手前出せない。姫子さんは後ろのやりとりでマスターの窮地を察し「ごめんなさい、私マスターさんに話がありますから…」と一度マスターを救い出そうとするが、ジジイが「なんや姉ちゃんひとりか!いくつや!」とゴチャゴチャ絡んで来たので、姫子さんも撤退する。

そうこうしているうちに十二時を回って私の退店時間になったので、マスターが日当をくれる。「ぜんぜん助けられなくてすみません」と言うと、「そんなことないよ!今日はマリ(私の名前)と組めてよかったよ!」と言ってくれる。

あのジジイがけっきょく何時に帰ったのか、私はまだ知らない。