昨年の終わりに2021年に読む本の目標を立て、10月31日に無事それを達成したことをご報告します。うれしい!
☞昨年の目標と振り返り、および今年の目標
自己満足のために読んだ記録と所感をブログに残しますので、本の話を読むのがお好きな方などは良かったらお付き合い下さい。
2021年の読書目標
◎ノンフィクション 5冊
『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子
『潜匠』矢田海里
『デス・ゾーン』河野啓
『人生最後のご馳走』青山ゆみこ
『完落ち』赤石晋一郎
所感:ノンフィクションは文章の巧拙が大きいため、なかなか進んで読みたい気持ちが起きなかった。私の中でノンフィクションは、文章、題材、面白さ、著者の人間性といったようなバランスがあり、どれが欠けても駄目なので非常に難しいジャンルだなと改めて思う。
◎明治~昭和一桁年代生まれの作家の作品 15冊(+1冊)
『倒立する塔の殺人』皆川博子
『春駒日記』森光子
『冬の道』吉村昭
『高熱隧道』吉村昭
『少女架刑』吉村昭
『午後の曳航』三島由紀夫
『真夏の死』三島由紀夫
『拳銃と十五の短篇』三浦哲郎
『みちづれ』三浦哲郎
『白夜を旅する人々』三浦哲郎
『古都』川端康成
所感:そもそもなんで明治~昭和一桁年代生まれの作家の本を読んでいたかというと、小説スクールで師事していた先生が「昭和十年までに小学校教育を受けた作家の文章は、古き良き日本語の美しさが詰まっているからよく読め」とおっしゃっていたからです。
私自身、美しい文章を読むと脳から快楽物質が出る体質なので、先生の教えに従ってよく読んだ結果、菊池寛と吉村昭と三浦哲郎の文章が性癖にはまりました。「研ぎ澄まされている」とでも言うような、短くて端的に物事を表している文章が好きです。逆に大きくツボを外したのが川端康成で、来年以降は作家をしぼって読もうと思います。
◎専門書 5冊
『タコの心身問題』ピーター・G・スミス
『これからの男の子たちへ』太田啓子
『女性のいない民主主義』前田健太郎
『女性差別はどう作られてきたか 』中村敏子
所感:専門書の基準は大学教授や士業の方が書いたものとしました。頭の良い人が書いた本なので、万人向けに書かれた『これからの男の子たちへ』以外はどれもむつかしかったです。
けれど、自分の頭ではぎりぎり処理できないくらいの本を頑張って読むことは、知性の訓練としての確かな実感があるので、来年以降もチャレンジしたいと思います。
◎海外小説 8冊
『冬の犬』アリステア・マクラウド
『マイ・シスター、シリアルキラー』オインカン・ブレイスウェイト
『殺す風』マーガレット・ミラー
『その雪と血を』ジョー・ネスポ
『汚れなき子』ロミー・ハウスマン
『誘拐の日』チョン・ヘヨン
『別の人』カン・ファギル
『わたしたちに手を出すな』ウィリアム・ボイル
所感:特に狙ったわけでもないのに、カナダ、ナイジェリア、アメリカ2作、ノルウェー、ドイツ、韓国2作と、これはかなりバランスが良いラインナップではないでしょうか。でもスリラー小説ばかりなのでやはり偏っていますね。海外スリラー小説は群を抜いて面白いものばかりなのでつい。
振り返って見ると、本を選ぶ時点からわくわくして楽しかったのは海外小説が多かったので、私は海外小説がだいぶ好きな本読みなんだなと改めて気づきました。
来年以降は犯罪小説でない海外小説や、ロシアや南米などこれまでほとんど読んだことのない国のものを選んでみようかな。
◎純文学 10冊
『ギンイロノウタ』村田紗耶香
『サキの忘れ物』津村記久子
『ミュージック・ブレス・ユー!!』津村記久子
『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子
『持続可能な魂の利用』松田青子
『空芯手帳』八木詠美
『自分を好きになる方法』本谷有希子
所感:選考基準は純文学の賞を受賞した作家の本というくくりで選びました。純文学賞というのは、芥川賞や三島由紀夫賞、太宰治賞、野間文芸新人賞、などなどこれ以上くわしく知りたいお方はウィキペディアで。
これだけ本を読んできたにも関わらず、昨年目標を立てた時点でも、純文学というのがいまいちどういう本なのか分かっていなかったのですが、今年まとまって読んだことで、ようやく自分なりにしっかり理解できたので良かったです。
あと、これまで読んだことがなかった『本谷有希子』というすばらしい作家に出会えたことに感謝しています。この人の本は全部読みたい。
◎中間小説 10冊(+2冊)
『盤上に君はもういない』綾崎隼
『1ミリの後悔もない、はずがない』一木けい
『汚れた手をそこで拭かない』芹沢央
『テスカトリポカ』佐藤究
『この本を盗む者は』深緑野分
『64』横山秀夫
『アクティベイター』冲方丁
『ワンダフル・ライフ』丸山正樹
『動機』横山秀夫
『水よ踊れ』岩井圭也
所感:中間小説は手軽に読めるので息抜きに読むのにちょうど良かったものの、やっぱり満足度におけるむらが大きかったかと思います。来年以降はもう少し減らしてもいいかな。
◎エッセイ 7冊(+1冊)
『海をあげる』上間陽子
『死ぬまでに行きたい海』岸本佐知子
『おしゃべりな人見知り』山本ゆり
『一度きりの大泉の話』萩尾望都
『スクリーンが待っている』西川美和
『いっぱしの女』氷室冴子
『マイ・ディア』氷室冴子
『私たちにはことばが必要だ』イ・ミンギョン
所感:読みやすさにおいてはエッセイも大変やさしいですが、満足度も非常に高い傾向にありました。やっぱりエッセイって最高。
以上、今年の読書の目標と実績の振り返りでした。自然と来年の読書の方向性も定まったので、年末あたりにまた目標を打ち立てたいと思います。本はなによりも、読む計画を立てている時がいちばん楽しい。