先日、シナリオスクールで知り合った有志で同人誌を作るという遊びを行い、それが私にとって小説の書き方についての新たな学びとなったので、備忘録として書き留めます。
◎HOW TO 物語づくり
今回の同人誌は実験的に『全員が同じプロット(物語の筋)で書く』という試みを行いました。
プロットの元になったのは米国人作家ディーン・R・クーンツ氏が提唱する『ベストセラー小説のプロット』。どういうものか簡単に説明しますと、「困難の中にある主人公がそれを乗り越えハッピーエンドを迎える」というものになります。
テーマとジャンルは自由に、各々このプロットで書きましょうということで取りかかったのですが、創作はしょっぱなから難航しました。
というのも、これは完全なる私の趣味なのですが、そもそも私はハッピーエンドがあまり好きではなく(複雑な後味の読後感フェチ)、「最後はハッピーエンド」と決まっているお話をつくることに若干の抵抗感があったのです。
ということで私は悩みぬいた末、ハッピーエンドの引き換えとしてめちゃくちゃ不幸な主人公にしようという方針のもと、「父親に虐待されている11歳の少女の物語」を書くことに。
枚数制限は2,000文字〜4,000文字で、締切りの前日夜あたりから本格的に書き始めたのですが、テーマの重さもあって地獄のように進みませんでした。
呼吸困難になりながら書き続けること4日、結局締切りを2日も過ぎてからの完成となりました。
何故このような事態となったか、どうすればもっと楽に書けたのかを振り返って考えると、これらのことが挙げられます。
・終わり方がしっかりと決まっていなかった
今回プロットそのものがすでに決まっていたので、それに沿って書いていけば自ずと終わると私は考えていました。
いちおう終わり方はフワっと決めていたのですが、いかんせんフワフワすぎてそこに至るまでの道がぜんぜん見えず、泣きながら書く羽目に。
その上ラストは結局当初考えていたものと違うものとなり、今回の件でこれほどまで痛切に思ったことはありませんでした。
期限と枚数が決まっている場合は、必ず終わり方をしっかり決めてから書き始めること。
そもそも「終わりを決めて、そこに向かって書く」という手法はスクールの講師からも聞いていたことで、その手法の正しさはすでに身をもって分かっていたはず。
「終わりを決めずに書き始める」という方法は相当の筆力がないとめちゃくちゃしんどいということを、今後は骨に刻んでいきたい。
そして次に挙げられるのが、
・ハッピーエンドを難しく考えすぎ
なんやねん「父親に虐待されている11歳の少女の物語」て。重すぎるわ。
ハッピーエンドが苦手なんやったら、ちっさいハッピーを書けばいい。11歳の男の子のしょうむない一大事とかでよかったんですわ。なんでそんなしんどい話を書かなあかんねんていう。
思わずなにわ弁になってしまいましたが、そういうことです。
これまでにも私はシナリオスクールの課題でも難しく考えすぎて行き詰まり、他の生徒さんの作品を読んで「あ、こんな簡単な感じでよかったの?」と拍子抜け&目からうろこが落ちることがあったのですが、今回でもその思考の癖に囚われたことが書いている途中で分かりました。次からは書く前に気づきたいと思います。
重い話を書いてどつぼに嵌まるくらいなら、軽い話をきっちり仕上げる。これが教訓2になります。
そして教訓3が、
私は一時間に240文字程度しか書けない。
1,200文字(原稿用紙3枚)のショート・ショートを書くのにだいたい5時間(240文字/1時間)かかることは以前から把握していたのですが、今回でもかかった時間と最終的な文字数を割ってみたところ、驚くことにほぼ同じペースでした。
本当に一時間に240文字を書いているのではなく、書いては消すという作業を挟み、最終的に240文字になっているわけですが、しかし今後は書かなければならない文字数がすでに分かっている場合、それに240を割ることで必要な時間があらかじめ分かるという計算です。
つまり2,000文字(原稿用紙5枚)のショート・ショートを書くには8時間かかり、仕事がある日はだいたい1日5時間程度しか作業できないので、締切の2日前から書き始めないとやばい、ということですね。
タイピングは速いしブログやエッセイはもっと速く書けるので勘違いしがちなのですが、小説を書く時間について明確に分かったのは今後のためにも良かったです。
◎くだらない発見
あと書いていて気づいたどうでもいい個人的な発見がこちら。
・痩せる
十代の頃もそうだったのですが、小説を書いていると私は空腹を忘れるので最低限しか食べなくなります。同人誌原稿を仕上げたあと体重を計ったら1kg落ちていました。ずっと落ちないなぁと思っていた1kgだったので得をした気分。
・自傷行為に走る
もともと皮膚摘み取り症気味で、仕事中もイライラするとやってしまいがちなのですが、小説を書いていて文章が出てこないと顔中の気になる皮をむしってしまい、眉毛の毛穴に1つと口の周り2つに炎症が出来てしまいました。あほすぎるのでやめたい。
以上、雑感でした。
締切に追われている間は苦しいばかりでしたが、おかげで気づくことも多々あり、非常に良い経験をさせてもらえた同人誌づくりでした。参加して良かったです。