ごんブロ

だいたい月に一度、本や映画の感想を書きます

SF音痴が傑作SF小説『三体』を二部まで読んだリアルタイム感想

 

f:id:gonzarezmm:20220225142230p:plain

 

空前絶後のヒットを飛ばした中国産傑作SF小説『三体』を読んでいます。

 

『三体』は2006年に中国のSF雑誌にて連載が始まり、2010年に完結、その後世界20ヶ国で翻訳されマーク・ザッカーバーグオバマ元大統領をはじめとした様々な読者を魅了、世界的なSF作品の賞を総なめし、2019年の時点で発行部数2,900万部を記録したSF小説です。

日本では2020年に第一部・二部が発行され、その高い評判は方々で聞いておりましたが、なにせ中国語翻訳・本格科学SF・長編・1冊2,000円以上と、とっつきにくい要素が幾重にも重なっていたため、なかなか手に取り辛かったところ、2021年夏に完結作である第三部が発行されると共に、発行元である早川書房が第一部・二部の電子版を50%割引するというとち狂ったセールを敢行。このビッグウェーブに乗り、私も入手した次第です。

 

と、購入したものの、私はSFはわりと不得手。

これまでの読書人生で『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『虎よ、虎よ!』『スローターハウス5』などなど、名だたる名作SF作品を前に挫折してきた経験を持つ、正真正銘のSF音痴。せっかく買った『三体』も、電子書籍なのをいいことに数ヶ月積みっぱなしにしていましたが、いつまでもそうしているわけにもいかず、一念発起して2月から取り掛かることに。

 

『三体』は三部作で全5巻。ページにして2,005ページと、一日あたり71.6ページを読めば2月中に読み終われる計算です。私のここ数ヶ月の読書ログを確認してみても、十分に達成可能な数字。これは、いける! さぁ、やるんだ!!!

 

 

ということで以下は『三体』に飛びこんだSF音痴による記録になります。

なるべくネタバレは無しで、読んだ人にしか分からないような書き方を心掛けましたので、未読かつこれから読もうと思われている方もご安心下さい。

 

 

 

第一部

 

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪ミャオ(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体〈科学フロンティア〉への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う。そして汪ミャオが入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?

 

 

 

・え、急に何が始まったん?(答え:中国文化大革命

 

 

・登場人物、ちゃんとルビ振ってくれないと読めないし、読めるようになっても寝て起きたら読み方を忘れる。

葉(イエ)文潔(ウェンジェ)…

お父さんは哲泰(ジョータイ)で、夫は楊(ヤン)衛寧(ウェイニー)(←これはまだ覚えられる)

文潔と書いてウェンジェがなかなか覚えられない…。

 

 

・主人公が汪淼(ワン・ミャオ)にチェンジ。視界に数字が浮かんだり、VRゲームで遊んだり。びっくりするほどつまらなくて気乗りしない。

なにがつまらないって、中国の歴史や群衆、三体世界についての記述ばかりで、肝心の人間個人に焦点が当たらず、キャラクターに魅力を覚えられないこと。この時点で魅力があるキャラクターといえば、脇役である謎の元刑事のおじさん・史強(シー・チャン)ただ一人のみ。読んでいてつらいので、早く面白くなってほしい。

 

 

・紅岸基地で起きていた本当のことが明かされ、ようやく面白くなる。

これよこれ~~~!!!

 

 

・史強(シー・チャン)こと大史(ダーシー)がこの物語の癒しだってこと、ぼくはわりと始めからわかっていたよ。

 

 

・読了。第一部447ページに10日間ほどかかったことに(なんならうち2日間ははほとんど読まず)。平均すると一日あたり45ページ弱しか進まなかったので、この時点で2月中に『三体』全巻を読破するのが難しい公算に。

 

 

 

 

第二部 黒暗森林(上)

 

人類に絶望した天体物理学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)が宇宙に向けて発信したメッセージは、三つの太陽を持つ異星文明・三体世界に届いた。新天地を求める三体文明は、千隻を超える侵略艦隊を組織し、地球へと送り出す。太陽系到達は四百数十年後。人類よりはるかに進んだ技術力を持つ三体艦隊との対決という未曾有の危機に直面した人類は、国連惑星防衛理事会(PDC)を設立し、防衛計画の柱となる宇宙軍を創設する。だが、人類のあらゆる活動は三体文明から送り込まれた極微スーパーコンピュータ・智子(ソフォン)に監視されていた! このままでは三体艦隊との“終末決戦”に敗北することは必定。絶望的な状況を打開するため、前代未聞の「面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)」が発動。人類の命運は、四人の面壁者に託される。そして、葉文潔から“宇宙社会学の公理”を託された羅輯(ルオ・ジー)の決断とは?

 

 

 

・相変わらず導入部が入りこみづらい。これはもう真面目に読むんじゃなくて流し読みすべきなんだろうけれど。

 

 

・このぽっと出のキャラ(※第二部の主人公です)である天文学者 羅輯(ルオ・ジー)の妄想の“ぼくのかんがえたさいこう”の彼女の下りはまじでいつになったら終わるねん ほんまにほんまに苦痛やぞ あと中国人にとっても『白いコート・赤いマフラー・長い黒髪・化粧はしていないけれどすごい美人』がロマンなのは草 なんでもいいから早く本題を進めろ

 

 

・進捗47%付近。はぁ~~~~~! めっっっちゃ面白~~~~~!!!

 

 

・進捗67%付近。面壁者計画ってさぁ、こんなん上手くいくわけなくない…?(物語的にはちょう面白)

 

 

・三体ゲーム内でETOの連中が「ジャン・ベイハイ、敵ながらかっこよ…」「それに比べて俺たちってほんとオタク…」って内省してるの、この物語で唯一のギャグシーンで良かった。

 

 

・読了。めっちゃ面白かった。とにかく壮大なスケールの物語なのでエンジン始動までに時間がかかるけれど、いざ動き出すとばつぐんに面白い。ただ私には物理と科学の素養が一切ないので、少なくないページを割かれてひたすら説明/披露される理屈の部分に「お、おう…ふーん…もうええで…」という感想しか持てず、そのあたりは読むのがつらいです。

作者はそれだけ高い物理と科学の素養の持ち主であるにも関わらず、ヒロイン像は古くさい=女性観が20世紀で止まっているというギャップにもげんなりする。

 

 

・読み始めてから終わるまでにかかった時間は335ページで4日間なので、一日84ページ弱のペースに上がっている。

 

 

 

 

第二部 黒暗森林(下)

 

三体世界の巨大艦隊は、刻一刻と太陽系に迫りつつあった。地球文明をはるかに超える技術力を持つ侵略者に対抗する最後の希望は、四人の面壁者(ウォールフェイサー)。人類を救うための秘策は、智子(ソフォン)にも覗き見ることができない、彼らの頭の中だけにある。面壁者の中でただひとり無名の男、羅輯(ルオ・ジー)が考え出した起死回生の“呪文”とは? 二百年後、人工冬眠から蘇生した羅輯は、かつて自分の警護を担当していた史強(シー・チアン)と再会し、激変した未来社会に驚嘆する。二千隻余から成る太陽系艦隊に、いよいよ出撃の時が近づいていた。一方、かつて宇宙軍創設に関わった章北海(ジャン・ベイハイ)も、同じく人工冬眠から目醒め、ある決意を胸に、最新鋭の宇宙戦艦に乗り組むが……。

 

 

 

・進捗44%地点。この時点でこの物語の935ページ/2,005ページを読んだことになるんだけれど、そういえばまだ三体人は一度も物語の舞台に上がっていないんだな…。

 

 

・それにしても『三体』、今のところ女キャラは美女か悪者の2種類しか出てこないので、ほんのりとしたミソジニーの匂いはする。

 

 

・史強が登場した時の「これでこの物語は面白くなります」の心強さよ。

 

 

・リンギア-フィッツロイ望遠鏡…!!!(こういうの大好き)

 

 

『わたしがおまえを滅ぼすとして、それがおまえに何の関係がある?』

このあたりが凄すぎて、深夜2時まで読んでしまった。(あんのじょう夢見が最悪だった)

『三体』はグダグダした説明シーンがだらだら続いて集中力がダレた次の瞬間突然面白くなる、のパターンが多い。

 

 

・「大史、なにか言いたいことはないかい?」羅輯は史強の方を向いて、笑顔で言った。

「兄弟、まったくわけがわからん」

「なんだって? ぼくが正義の天使だと信じないのかい?」

「殴り殺されたって言うもんか、そんなこと」

なんやこの可愛いおっさんども 仲良しかよ

 

 

・読了。はぁ~~~~~~~~~もう めっちゃ面白かった…!

はじめは「なんやねんこの夢男子」としか思わなかったルオジーがどんどん魅力的な人物になっていくの、端的に言って最高…! このキャラクターの独特の捉えどころのなさ、封神演義太公望っぽいというか、仙人のようなイメージを付与されているのかなと想像したり。なんにせよとっても良い。

 

 

・読むのにかかった時間は7日間。348ページなので、一日当たり50ページ弱のペースに。

 

 

 

以上、『三体』第二部までのリアルタイム感想でした。

科学や物理の説明がえんえん続く場面は今も苦手意識がぬぐい去れませんが、SF音痴でも十分に楽しめる物語であることを保証します。

いま現在の私は『三体』の完結編である第三部に着手しており、あと100ページ強で上巻を読み終わるところ。もうとてつもない絶望感が描かれていて、どんな形で物語が終わるのか想像もつきません。読み終わったらまた追記したいな。出来るかな。読み終わった人、みんな放心状態になると聞くので、書けるかどうかは分かりません。

 

 

 

theriver.jp

 

Netflix&そうそうたる顔ぶれでのドラマ化が決まっています。

めっっっちゃ楽しみ!!!!!

 

ルオジーはどんな役者がやるんだろうなぁ…。

 

 

読破しました☞

 

gonzarezmm.hatenablog.com